命を救う「線路と車両の隙間」 どの体格までOK?

列車にひかれそうになったものの、線路と車両の隙間に入り込み九死に一生を得たという事例がしばしばあります。その隙間、どれぐらいの大きさなのでしょうか。

生死を分ける「線路と車両の隙間」

 アメリカで、女性が線路を歩いていたら列車が接近。線路へうつぶせになったところ、女性に接触することなくその上を列車が通過、危機一髪の生還を果たしたというトラブルを2014年7月30日(水)、NHKが伝えました。

 このように、列車にひかれそうになったものの線路へ寝そべって助かったという事例は、日本でもしばしば発生しています。2013年6月17日には兵庫県のJR神戸で列車がホームに進入する直前、男性がホームから転落。運転士が非常ブレーキをかけますが間に合わず、男性の転落場所を通り過ぎて列車は停止しました。しかし幸いにも転落した男性は、線路と車両の隙間に入り込み軽傷で済んでいます。

 このような場合に、明暗を分ける「線路と車両の隙間」。メタボリックな方はそれに期待するのは難しいと思われますが、でははたしてどれくらいの体格なら、それで助かる可能性があるのでしょうか。

意外と余裕がある?

 線路から車両までどれぐらいの隙間があるのか、計算してみたいと思います。

 鉄道車両の最低地上高は、国土交通省の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」によって基準が示されています。それによると車両は車輪部分を除き、レールの上面から最低50mm離す、とされています。

線路は砕石の上に枕木を置き、その上にパッドを挟んでレールを敷く構造がよく見られる。

 レールの高さは、路線により使用する規格が異なるため一概には言えませんが、新幹線や列車本数の多い主要路線で使用されている「60kgレール」だと174mm、在来線で広く使われている「50kgNレール」は153mm、ローカル線で良く使われる「40kgNレール」は140mmです。

 またレールと、その下に置かれている枕木の間には緩衝材のパッドが入っており、その厚みが6mmから12mmほどあります。

 以上のことから50kgNレール、パッドの厚みが7mmの路線だとすると、レールの高さは153mmで、車両の最低地上高はレール上面から50mmですから、7mm+153mm+50mmで210mmの隙間が、線路と車両との間に生まれることになります。

 山手線や京浜東北線、東海道本線など60kgレールを使っている路線ではレールの高さが174mmなので、隙間は231mmです。

 線路と車両の隙間は、レールが低いローカル線を除けば200mmほどあることになります。中肉中背の体格であれば男性でも、精一杯地面にへばりつけば助かる可能性がありそうです。眼前を、それも数mm単位の眼前を列車が通過していくと思うと、想像しただけで恐ろしいですけれども。線路に転落することのないよう、ホームの端を歩かないなど、くれぐれもお気をつけください。万が一転落したとしても、線路にへばりつくのではなく、ホーム下の退避スペースなどへ逃げるべきです。

※ここに挙げた数値は、線路と車両に必ずそれだけの隙間があるというものではありません。ひとつの目安であり、レールの摩耗や線路の種類などによって数値は多少変わります。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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