続く危険薬品のトラブル 列車持込NGの物とは?

列車へは持ち込んではいけない物があり、法律で罰せられる場合も。知らず知らずのうち、ルールに違反していませんか?

前科がつくことも

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東海道本線と身延線が通る富士駅。静岡県富士市は工業が盛んで、特に豊かな地下水を使った製紙業で有名。

 2014年8月1日(金)、静岡県にあるJR東海道本線の富士駅ホームで、乗客が持っていた塩酸入りの缶が破裂。白煙が立ちこめ騒然となり、列車の運転を一時見合わせる事態になりました。

 また2014年1月22日(水)には東海道新幹線の名古屋駅ホームで、乗客が硝酸の入ったガラス瓶を破損。トイレに硝酸を捨てようとしたところ、煙が発生し騒ぎになりました。

 こうした危険な薬品類、そもそも列車に持ち込んで良いのでしょうか。

 JR東海の旅客営業規則によると「硝酸、硫酸、塩酸、塩化スルホン酸(塩化スルフリルを含む。)、沸化水素酸」といった「危険品」は持ち込めないとされています。しかし「酸類で、密閉した容器に収納し、且つ、破損するおそれのないよう荷造りした0.5リットル以内のもの。」であればOKです。

 富士駅の事例では、乗客は250mlの缶に塩酸を入れていたため、量はOKです。しかし荷造りがNGです。そもそも多くの金属と塩酸は化学反応を起こし水素を発生させるため、缶で塩酸を運ぶこと自体が論外です。

 名古屋駅の事例では、乗客は硝酸が入った500mlのガラス瓶を3本持っており、簡単に割れてしまいました。そのためこちらは量の点でも、荷造りの点でもNGです。

 こうした危険品の持ち込みは以下に記した「鉄道営業法」第三十一条に抵触し、同法違反で起訴されれば前科がつく可能性があります。

「鉄道運送ニ関スル法令ニ背キ火薬類其ノ他爆発質危険品ヲ託送シ又ハ車中ニ携帯シタル者ハ五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」

 元々は1900(明治33)年に制定された法律なので「罰金50円」ですが、物価変動による罰金額の引き上げを定めた「罰金等臨時措置法」によって、この場合は2万円以下の罰金または科料になります。

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