JR九州も実用化へ 進化する新世代の蓄電池式車両

JR九州は、ディーゼルカーに替わる次世代車両として期待されている「架線式蓄電池電車」を筑豊本線に導入すると発表。JR東日本も同様の車両を今年から走らせており、現在は架線式蓄電池車の黎明期といえる状況になっていますが、蓄電池を使う鉄道車両自体は古くから走っていたりします。

電化区間は架線から、非電化区間は蓄電池から

 JR九州は2014年11月27日、「架線式蓄電池電車」を2016年秋から導入すると発表しました。

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JR九州が817系電車を改造して試作した架線式蓄電池車。床下に大容量の蓄電池を搭載している(資料:JR九州)。

 「架線式蓄電池電車」とは、線路上空に車両へ給電するための架線がある「電化区間」では、パンタグラフを上げて一般的な電車と同様に走行。合わせて、走行中もしくは停車中に蓄電池を充電します。そして架線がない「非電化区間」ではパンタグラフを下げ、蓄電池の電力を使って走行するという仕組みです。またモーターをブレーキとして使った際に発生する電力を、蓄電池に貯めることもできます。

 非電化区間で一般的に使用されるディーゼルカーと比べ、二酸化炭素の排出や騒音を抑えられること、ブレーキ時に充電しエネルギーを効率よく使えることから、架線式蓄電池電車は環境に優しいことも特徴です。

 JR九州ではこの架線式蓄電池車について、ディーゼルカーに替わる非電化区間の次世代車両として開発を進めており、2013年3月にその試作車両が登場。今回、量産車両の製作に着手し、2016年秋に1編成2両、2017年春に6編成12両を導入する予定です。

 この車両が導入される非電化区間は、筑豊本線(若松線)の若松~折尾間です。その理由としてJR九州は、車両に搭載する蓄電池容量に適した距離で、かつ交流電化区間との直通運転という運用上のメリットを挙げています。筑豊本線は折尾駅を境に若松駅側は非電化で、飯塚駅側は交流電化になっているため、架線式蓄電池電車を活用できるというわけです(筑豊本線の電化区間は折尾~桂川間)。

 筑豊本線への導入理由としてJR九州は、同路線の若松~折尾間は「世界の環境首都」を目指す北九州市内にあり、環境に優しい架線式蓄電池車の初導入線区としてふさわしいことも挙げています。また今後、福岡県を走る香椎線などへの導入も検討されています。

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