踏切もコードレス時代 JR東日本が「無線踏切」使用開始

JR東日本は2014年12月、世界で初めて無線で動作する踏切を使い始めます。そこには「ATACS」という、同社が開発を進めている新しい列車制御システムの存在がありました。列車が自分自身で位置と速度、能力を把握し、踏切を作動させる大変賢いシステムです。

有線で踏切脇の「箱」へ

 鉄道の踏切は身近なものですが、どのようにして作動しているのか、意外と知られていないかもしれません。

 一般的には、まず線路上に設置されている機器が列車接近を検知。そして踏切の隣に、謎の文字が書かれた主に灰色をしている箱状の物体を見たことはないでしょうか。そこには踏切関係の機器が入っています。その「箱」へ、線路上の装置が検知した列車接近の情報が送られることにより、踏切が作動し始めます。

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線路上に設置された列車検知装置によって作動する一般的な踏切(2009年10月、JR東日本の宇都宮線で恵 知仁撮影)。

 そして列車が踏切を通過したのち、やはり線路上に設置されている機器で列車の踏切通過を確認。その情報が「箱」へ送られ、踏切の竿が上がるという流れです。このとき列車の接近、通過を検知したという情報は、有線で「箱」へ送られます。

 しかしそうした踏切のシステムに、まもなく大きな変化が訪れます。2014年12月14日より、JR東日本が無線を使った踏切の制御システムを世界で初めて使い始めるのです。

 JR東日本によるとこの新しい「無線踏切」は、仙石線のあおば通~東塩釜駅間で順次使用を開始する予定とのこと。仙石線は、仙台市の繁華街に位置するあおば通駅から仙台駅、「日本三景」の松島海岸駅を経て石巻駅へ至る50.2kmの路線です。このうち高城町~陸前小野間が東日本大震災の影響で現在も不通になっていますが、2015年6月までに全線で運行が再開される見込みです。

 さて、この仙石線で導入される「無線踏切」は従来の踏切のように、線路上へ列車接近を検知する機器を設置しません。ではどのように列車の接近を検知し、踏切を作動させるのでしょうか。

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