高速道路が影響 縮小していく房総特急

北陸新幹線の開業など、未来志向の話題が多く見られる2015年3月のJRダイヤ改正。しかし千葉県の房総半島方面では、明るくない話題も目立ちます。その大きな理由は高速道路。かつて季節によって特別ダイヤも組まれた房総の鉄道ですが、往時とは大きく変わりつつあります。

減便、一部区間廃止、全区間廃止

 2015年3月14日に行われるJR東日本のダイヤ改正。北陸新幹線や上野東京ラインの開業など未来志向の話題が多いダイヤ改正ですが、減便、廃止といった明るくない話題も目立つエリアがあります。千葉県の房総方面です。

 まず東京駅、新宿駅と成東駅、銚子駅方面を結んでいる総武本線の特急「しおさい」について、現在は上り下り合わせて17本の列車が運転されていますが、ダイヤ改正後は3本減って14本に。新宿駅発着の列車はなくなります。また全列車が飯岡駅へ停車します。

 東京駅と茂原駅、安房鴨川駅方面を結んでいる京葉線・外房線の特急「わかしお」については現在、上下26本の列車が運転されていますが、日中の1往復が減便されて合計24本になります。また土曜休日や繁忙期には引き続き、新宿駅発着の「新宿わかしお」といった臨時特急が運転されます。

 東京駅と君津駅、館山駅方面を結んでいる京葉線・内房線の特急「さざなみ」については現在、上下12本の列車が運転されていますが、ダイヤ改正後は下り5本、上り3本の合計8本になり、全列車が東京~君津間での運転に。君津~館山間では定期運転される特急がゼロになります。また土曜休日や繁忙期には引き続き、新宿駅発着の「新宿さざなみ」といった臨時特急が運転されます。

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2015年3月のダイヤ改正で廃止される特急「あやめ」(2009年3月、恵 知仁撮影)。

 そして東京駅と佐原駅、鹿島神宮駅、銚子駅を結んでいる総武本線、成田線。鹿島線の特急「あやめ」については現在、2往復が運転されていますが、2015年3月のダイヤ改正で列車が廃止になります。

アクアライン開業と同時期に消えた「房総夏ダイヤ」

 これら房総方面の特急列車について、JR東日本千葉支社は「沿線人口の減少」「高速道路網の充実」「新たな高速バス路線の運行」等によって利用者数が減少しており、その結果として今回の運行体系見直しに至ったとしています。

 房総方面では1997(平成9)年に東京湾アクアラインが開業し、2007(平成19)年には館山自動車道が全通。2013(平成25)年に圏央道の木更津東~東金間が開通するなど、高速道路の整備が進んでいます。

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風物詩だった「房総夏ダイヤ」(日本交通公社(JTB)『国鉄監修 交通公社の時刻表』1982年8月号より)。

 かつて房総の国鉄・JR線では、毎年恒例の出来事がありました。海水浴などレジャー需要が増える夏季に設定された「房総夏ダイヤ」です。臨時特急が走ったり、内房線に臨時快速「青い海」号、外房線に臨時快速「白い砂」号が運転され、時刻表にも専用ページが登場。「夏の風物詩」になっていました。

 しかしモータリゼーションの進行、道路の整備などにより「房総夏ダイヤ」は次第に縮小。アクアライン開業の翌年、1998年の夏を最後に時刻表から「房総夏ダイヤ」のページは姿を消しています。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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3件のコメント

  1.  アクアラインの影響で内房線などの房総地区の鉄道の衰退が懸念されていますが、私はこのような衰退を打破するために内房線を東京湾海底トンネルで線路を伸ばして東京都心へ乗り入れることを強く提言します。鉄道こそ房総半島から東京湾を横断して高速バスからの巻き返しを図るべきです。
     内房線などの鉄道がアクアラインに敗退を強いられているのは距離的な面で問題があることは誰から見ても明らかな要因です。道路が東京湾を渡っているのになぜ鉄道はいまだに総武線・京葉線を経由してわざわざ遠回りしなけれならないのでしょうか?電車は高速バスより旅客の大量輸送が可能で定時輸送が保障されるという強みを東京湾海底トンネル鉄道に生かさないのはあまりにももったいないと私は考えます。
     建設費の面で東京湾海底トンネル鉄道の計画はちゅうちょされなければならないでしょうか?現在のトンネル工事はシールド工法が主流でかなり安く簡単に工事がしやすいといわれています。しかも対岸の東京ではJR自己負担での羽田空港アクセス新線が建設されようとしています。これを海底トンネルで内房線につなげないのはもったいないです。
     内房線はこのまま総武線・京葉線直通に甘んじていいのでしょうか?このままの状態だと旅客は高速バスへますます流れていき内房線はさらに減便をせざるを得ないという負のスパイラルを強いられる一方だと私は考えます。本当の意味で内房線など房総地区の鉄道の衰退を打破したいのなら東京湾海底トンネル鉄道構想も視野に入れるべきであると私は提言します。

  2. 房総への観光に車を使ってしまう理由は、
    ・駅から海までのアクセスに難があること
    ・海岸沿いを周遊しながら観光することができないこと
    ・京葉線東京駅があまりに不便なこと
    です。
    しかしアクアラインにも次のような難があります。
    ・渋滞が激しいので早朝に行き深夜に帰ることを強いられる
    ・ゆっくり風景を楽しめない
    ・首都高内はたいへんつまらない
    だからおそらく、次のような方策で復活できる可能性があります。
    ・館山や勝浦から特急時刻に合わせた低廉で快適な小型バスを充実させる
    ・レンタサイクルを充実させる
    ・東海道~横須賀線~総武線~内房線館山~外房線勝浦のG車付き快速を休日のみ数本走らせる

  3. JR東千葉支社の労働組合こそが諸悪の根源、全ての元凶・・・
    千葉県民の民族性も十分に問題有だが。。。