規制だけではダメ? 商用利用へ足を踏み出すドローン先進国アメリカ

「有視界」の先へ、ついに足を踏み出したアメリカ

 このようにドローンの商用利用への期待が高まるなか、FAAはさらにもう一歩、踏み出しました。2015年5月6日、FAAは世界最大級の無人飛行体のイベント(AUVSI's Unmanned Systems 2015)で記者会見を開き、「有視界以外での実証試験を行う」と発表しました。これは事実上、ドローンの自動飛行を意味します。同試験を実際に行うのは、FAAが委託したテレビ局のCNN、ドローンのベンチャー企業、そして商用鉄道会社の3社です。それぞれが都市部、都市周辺部、郊外部の上空を実験領域として受け持ちます。

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「AUVSI's Unmanned Systems 2015」で会見するFAAのマイケル・フエルタ長官(2015年5月、桃田健史撮影)

 記者会見でFAAのマイケル・フエルタ長官は「小型の無人飛行体は、様々な技術革新が進んでおり、経済効果として今後、大きく伸びる分野です。各種の実証試験を含めて、業界全体が“WIN”となるよう、多方面と協調していきます。実証試験の実施期間は現時点で設定せず、様々なトライを行いたいと思います」と抱負を述べました。

 こうしたドローンの法整備は今後、米航空法の除外項目「セクション333」のなかで議論が進み、近年中に正式な法規となる見込みです。

 ドローンの自動飛行に正式GOがかかったいま、アマゾンやグーグルの小口輸送等、新たなる商用利用の可能性が広がってきました。

 日本でも近年中に、ドローンの商用利用を念頭に置いた、航空法の一部改正が行われるかもしれません。

【了】

Writer: 桃田健史

世界各地で輸送機器、IT、環境などの取材を続けるジャーナリスト。近著に『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』(洋泉社)、『未来型乗り物「超小型モビリティ」で街が変わる』(交通新聞社)。

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