N700系のA化が完了 何が変わる? JR東海

「A化」によって何が変わる?

 N700系の「A化」では、N700Aが持つ「中央締結ブレーキディスク」「地震ブレーキシステム」「定速走行装置」などの装置、機能が加えられました。

「キーポイントは安全性の向上です」(JR東海・新幹線鉄道事業本部車両部、上野雅之部長)

「中央締結ブレーキディスク」の採用によってブレーキ力が約15%強化され、「地震ブレーキシステム」では地震発生時、停止に必要な距離が1割程度短縮されます。つまり「A化」によって安全性が向上しました。

「定速走行装置」は、そのときの状況における最高速度で走行できるシステム。線路の勾配などを考慮しつつ、制限速度を守りながら効率的に走れるため、ダイヤが乱れた際、遅れの早期回復につなげることが可能です。つまり「A化」でこの装置を搭載したことによって、運行の安定性が向上します。

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マークの「A」が大きい車両は最初からN700Aとして製造されたもの。小さいのはN700系から「A化」された車両(2014年、恵 知仁撮影)。

「空気タンク」が増設されたのもポイントです。N700系とN700Aは、空気圧で作動する「車体傾斜装置」を搭載しています。カーブで車体を傾け、遠心力を抑えることで乗り心地を維持しつつ、カーブを高速で通過できるようにするシステムです。

 N700Aはこれを作動させるための空気タンクを多く持っており、より広い区間で車体傾斜が可能なことから、カーブの多い東海道新幹線でも285km/h運転が可能です。

 通常のN700系は、東海道区間の最高速度が270km/h。しかし空気タンクを増設する「A化」によって285km/h運転が可能になり、ダイヤの利便性が向上します。最高速度がアップしたことで、遅延発生時にも効果があります。

「車両のラインナップを活かしながら、より良い輸送体系を作り、競争力を強化していきます」(JR東海・新幹線鉄道事業本部、巣山芳樹本部長)

 JR東海によると、N700系を80編成「A化」した総工事費は230億円とのこと。ちなみに、最後に「A化」されたJR東海のN700系はX4編成で、8月6日(木)から営業運転に入るそうです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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