洪水救助で活躍 悪天候に強いヘリ「ブラックホーク」、その実力

もし1985年に「ブラックホーク」があったなら

 乗員は航空自衛隊機の場合、機長および副機長のパイロット2名、パイロットの補佐やホイストの操作などを担当する機上整備員1名、そして機外に出て救助を行う救難員2名の合計5名で、彼らはひとつのチームとして「ブラックホーク」を運用します。

「ブラックホーク」はその優秀さの代償として、やや高価であることが欠点です。電子機器や装備品だけで10数億円に達します。陸自の主力ヘリUH-1Jが丸ごと買える価格です。さらに機体およびエンジンで30億円強。2016年度においては、1機あたり44億円で8機を調達する予算が組まれる見込みです。

 自衛隊は今回、9月10日から翌9月11日までにヘリコプターで366名を救出しました。また、もし1985(昭和60)年の日本航空123便墜落事故の際に「ブラックホーク」があったならば夜のうちから救難活動が行え、もっと多くの人命を救えたでしょう。何百もの命をその程度の機体価格で救えるならば、これほど安い買い物はないのかもしれません。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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7件のコメント

  1. 戦闘機は?ですがこの様な素晴らしいヘリは高くても無条件で導入すべきです、
    日本人の命はお金に換算出来ません。

  2. 自衛隊のうんぬんを議論するよりもこの度の地震にいち早く対応ブラックホークの活躍を被災者は頼もしく見えたと思います上げ足を取る事よりも現実を受け入れてエールを送って下さい自衛隊の皆さん頑張って下さい

  3. 表現がおかしいかもしれませんが『頼もしい』ヘリですね。
    このような装備なら防衛予算ももっとUPしてほしいですね。
    他のしょうもない(?)予算がたくさんありますので、その分を回せば多数のブラックホークが整備できると思います。
    救助される被害者は勿論、災害救助に尽力される自衛隊の皆さんの命も守れるとお思います。

  4. 防災ヘリ等の安易な要請への抑止・クルーの危険性に配慮すれば
    遅かったが、多少は改善方向に向かえばと思う。

  5. ブラックホークは良い機体ですが、V107でも日航ジャンボ墜落の救助に当たれたと思います。V107で救助に出られなかったのは、他に理由が合ったからです。
    きちんと調べてから記事は書いてください。RQパイならばみんな解ります!!

  6. 航空機だし、自衛隊の装備なので高額なことはわかる。高額でも必要な物は購入配備すればよいと思う。でも機体およびエンジンで30億円って高くないかなー。30億あればどれほどの建物が建つか。開発費はライセンスなのでかからないが、ライセンス料が高いのか、製造コストが言いなりなのか?。増産すれば安くなると思うので、国産にこだわらずライセンス生産せずにアメリカからの購入ではだめなのか。もちろん自衛隊の装備なので救難は必要だけど、戦闘できる装備は絶対すべての装備に必要だと思う。