旧型機が新型機を強くする? ボーイングが示すF-15戦闘機、その未来

F-15の強化でF-35が強くなる? ボーイングが示した未来

 2015年9月15日(火)、F-15の製造元であるボーイング社は、“次の10年”を見据えたF-15のアップグレードパッケージを発表しました。この新しいF-15は、AIM-120「アムラーム」視程距離外空対空ミサイル14発、AIM-9「サイドワインダー」短射程空対空ミサイル2発、合計16発の空対空ミサイルという、従来のF-15の2倍に達する武装をしています。

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合計16発という多数のミサイルを搭載したF-15のイメージ(画像出典:ボーイング)

 このアップグレードされたF-15、ボーイング社の狙いは「F-35の空中戦能力を増大させること」にあります。

 F-35はステルス性に優れ、情報収集能力に極めて優れた戦闘機です。しかしステルス性を最大限に発揮する場合、射程の長いAIM-120「アムラーム」は胴体内兵器倉に2発しか搭載できない欠点を抱えます。一方、F-15は機体が大きくミサイルを大量に搭載することができますが、ステルス性に欠け情報収集能力もF-35に及びません。

 そこでF-15とF-35を同一のデジタルネットワークに接続し、F-35は前方で敵機を照準。F-15はF-35から照準情報を受け取って、遠方からミサイルを発射します。F-15が14発の「アムラーム」を運ぶミサイルキャリアーとしてF-35の後方にひかえることにより、F-35の同時交戦能力が、理論上2機から最大16機にまで増大されるわけです。

 航空自衛隊のF-15Jは、21世紀中頃まで使い続けられる戦闘機です。また航空自衛隊は、数で圧倒的に勝る中国軍に対抗しなくてはなりません。今回、ボーイング社が発表した新しいコンセプトは、そうした将来におけるF-15Jの形のひとつとして示唆に富んでいるといえるでしょう。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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5件のコメント

  1. 現在でさえ、機体の運用年数は30年に達しているのに、あと50年はさすがに機体がもたないのでは?
    標的機なら使えそうですが。

  2. 現在なら旧式のF15でも戦力になると思いますが、50年間の内に周辺の国々もF22に匹敵する戦闘機を配備するでしょうから、たとえ近代化改修で飛行能力を維持できてもステルス性能に劣るF15は真っ先に落とされるのでは。いっそのこと、F15を無人機に改造して、囮として使ったほうがいいのかもしれません。

  3. 正誤を補足します。
    正:F-35の同時交戦能力が、理論上2機から最大18機にまで増大されるわけです。
    誤:F-35の同時交戦能力が、理論上2機から最大16機にまで増大されるわけです。

  4. 上記正誤について。
    超射程のアムラームを基本としているため、16発で問題なし。
    短射程のサイドワインダーを遠距離のF15が撃っても仕方がない。

  5. ♪ 型は 古いが しけには強い~ というような 歌もありますが、今 放送のテレビ番組の
    題名でもある「テセウスの船」の 現代版 でしょうか? 
    まぁ 胴体とか主軸にあたる部分の 金属疲労が寿命になるんでしょう? 
    ただ 原子力発電所の 炉心の寿命よりは 長いかと 思います。