線路・道路両用車「DMV」、現状では導入困難か 有用性あるも制約多数

導入可能といえど、導入困難が現実か

 今回の中間とりまとめでは、JR北海道が開発したシステムをベースに、DMVが導入可能なモデルケースが示されています。

 それによると、列車の運行や踏切の動作は、DMV専用の運転保安システムで制御。DMV専用の線路を使用し、列車は単車(1両)運行としています。また線路上で行き違いをせず、長大トンネルは設けない、線路と道路のモードチェンジは線路の両端でのみ行う、といった条件も挙げられました。

 すなわち、朝夕などの混雑時は従来通り輸送力のある鉄道車両を使い、閑散時間帯のみ定員も運行コストも少なく、運行柔軟性が高いDMVを鉄道車両の代わりに使うといった、鉄道とDMVの長所をそれぞれ活用、両立する仕組みは、現状では難しいとされた形です。

 また、複数のDMV車両を連結することによって輸送力を変えることができず、行き違いも不可。つまり現状においてDMVは、ごくシンプルな形でしか実用にならないと判断された、ともいえるでしょう。

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条件の多い、DMVが導入可能なモデルケース(画像出典:国土交通省)。

 一方で、新たな技術開発により、モデルケースの前提条件が変えられる可能性にも言及。その場合はあらためて試験項目などを検討し、各種性能の評価を行う必要があるとしました。

 今後の会合について国土交通省は、DMVの技術開発状況などをふまえて開催するとのこと。現状では容易ではないDMV導入ですが、発表されたとりまとめでは、「鉄道事業者とバス事業者の業務分担など事業運営面での検討とともに、輸送力拡大(連結運転など)やコスト低減などについての検討も望まれる」と結んでおり、その実現に向けた模索が続けられる見通しです。

【了】

Writer: 末吉史樹

小学校の校庭横をブルートレインが走り、上空をF4「ファントム」が飛ぶ環境で育つ。旅とグルメを愛し、各地の温泉やおいしい食べ物には目がない。

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コメント

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1件のコメント

  1. 単線路、離合無しとなると輸送量としては少ないですね。路線長にもよりますが一カ所か二カ所は離合カ所が欲しいですね。北海道では昔のキハ01等で突然の混雑による積み残しがありましたから。波動輸送の対応は既存の車両に適わないでしょうね。名古屋のバスが鉄道車両になる区間は大型二種と鉄道免許が必要ですよね。JRが運行する場合も地元のバス会社が運行する場合も運転士は2つ免許が必要になりますね。特定の乗務員を養成すると労働強化っていう声も出そうですし、かといって全員免許を保持させるのにも教育費用がないし。「大は小を兼ねる」ではないですが、既存の車両や方法に落ち着くんでしょうね。細かい点ではそれぞれの免許保持者に対しての手当てや乗務距離、拘束時間中の休憩時間等問題があるのでしょうね。