領空侵犯、日本はどう対応? トルコとは大きく異なるその現実

「撃墜」は事実上不可能、それが日本の現実

 しかしながら、不明機がそれでも従わなかった場合、これ以上の手出しは一切できません。

 スクランブルした戦闘機には必ず短射程空対空ミサイルの実弾が搭載され、場合によっては視程外距離空対空ミサイルも携行しますが、これらの武器を使用し撃墜することは「正当防衛」ないし「緊急避難」、すなわち不明機の攻撃によって自身や第三者(僚機や地上)が攻撃される恐れが高い場合にのみ可能となります。

 一般的に空中戦は「先手必勝」であり、最初の一撃を相手に撃たせるということは“死”を意味しますから、対領空侵犯措置において不明機の撃墜は事実上、不可能です。

 内閣総理大臣により「防衛出動」が発令された場合は合法的に武力の行使が可能となりますが、これは戦争状態を意味し、過去一度も発令されたことはありません。

 戦後、日本はソ連爆撃機による沖縄本島上空通過を含む37回の領空侵犯を受けました。そして今後は、高性能な無人機を使用した“気軽な領空侵犯”が増える可能性があります。

 緊張状態にあるトルコ・シリア国境はともかく、先述の通り、平時において「撃墜」は事実上、日本がとり得る選択肢ではありません。しかし撃墜を可能とする法的根拠を整備することは、抑止力の面において重要です。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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5件のコメント

  1. 毅然とした態度で、先手、迎撃できる法整備を望みます。なめられたら終わり。。。

  2. 「警告射撃にも従わないときは二機で挟んで強制着陸させる」とTVでやっていたけど。

  3. ミサイルでなく警告射撃できるのに、していない理由を知りたい。

  4. Благодарю покорно ! Заглядываете и на родной онлайн-проект :) Дома с французскими балконами

  5. Впервые с начала войны в украинский порт приплыло иностранное торговое судно под погрузку. По словам министра, уже через две недели планируется выползти на уровень по меньшей мере 3-5 судов в сутки. Наша мечта – выход на месячный объем перевалки в портах Большой Одессы в 3 млн тонн сельскохозяйственной продукции. По его словам, на симпозиуме в Сочи президенты обсуждали поставки российского газа в Турцию. В больнице актрисе рассказали о работе медицинского центра во время военного положения и тиражировали подарки от малышей. Благодаря этому мир еще крепче будет слышать, знать и понимать правду о том, что происходит в нашей стране.