売れない日本の中古船 フェリー会社のビジネスモデルに異変

ある規制が日本の中古船に影響

 現在、日本のフェリー会社が供出する中古船は、船齢15年以上のものが多くなっています。ところがセウォル号沈没事故の影響もあって、中国・韓国の両政府は船齢30年(28年という説も)以上のフェリーは就航を許可しないという規制を実施したため、すでに日本から供給される中古フェリーは市場性を失いつつあるのです。

 一方で、日本の中古船の買い手のひとつであるギリシャは財政危機以降、新規の投資に慎重になっており、「このままではフィリピンやインドネシアなど、中中古市場(中古船のさらに中古という船齢の高い船を扱う市場)しか売り場がなくなる」(中古船ブローカー)という声もあります。売れないわけではありませんが、「売却価格は下がる」というのです。

 現在、前述のとおり国内では中古フェリーの売り物が7,8隻たまっていますが、さらに新造船が就航していけば中古船の出物も増えるわけで、今後、新たな売り先を探して行く必要がありそうです。

【了】

Writer: 若勢敏美(船旅事業研究家)

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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コメント

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1件のコメント

  1. >、中国・韓国の両政府は船齢30年(28年という説も)以上のフェリーは就航を許可しないという規制を実施したため

    わたくしが知っているのは台湾は船齢14年 中国韓国が船齢15年 フィリピンインドネシアが船齢25年
    もちろん いろいろと抜け穴はあります。
    どのソースで30年とか28年とか記載なさったのですか?

    記事全体として「売れない」となってますが売れますよ
    船主が売る努力をしないだけ
    中古船は非常に閉鎖的世界
    オープンに入札にすれば驚くような値段でどんどん売れます。
    船主の中にもそれを取り巻く輩もオープンになると困る人が多い。
    売れないのではなく、売る努力をしない。