JR北海道、厳しさ浮き彫りに 58駅が乗車1日1人以下 全体の13%

北海道の鉄路、変化は避けられない?

「なんでこんな場所に駅が?」という「秘境駅」。そのトップクラスとされる室蘭本線の小幌駅(豊浦町)は山と海に囲まれ、人家どころか獣道程度しかありません。しかし今回の発表では、1日平均の乗車人員が「10人以下」という結果です。

 同駅についてJR北海道は2015年に廃止の考えを示しましたが、有数の「秘境駅」として知名度が高いことから地元の豊浦町が観光資源として存続させるよう動くなど、近年では「名所」として注目が集まっています。

 また3月26日(土)のダイヤ改正から1日1往復しか列車が走らなくなる札沼線の浦臼~新十津川間について、その途中4駅はすべて、1日平均の乗車人員が「1人以下」であることがわかりました。同線の終点である新十津川駅は「10人以下」です。

 JR北海道によると、こうした「極端にご利用が少ない駅」であっても定期的に巡回し、施設の維持管理をする必要があり、特に除雪については要員の確保も難しくなっているとのこと。そして施設の老朽化も進行し、ホームや駅舎の改修などが近い将来に必要になるといいます。

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近年は「観光名所」として訪問客が多い「秘境駅」の小幌駅(2015年7月、恵 知仁撮影)。

 閑散線区を多く抱え、近年ではトラブルもしばしば発生しているJR北海道。2015年度の事業計画では、経営自立に向けて「安全の確保」を大前提に、収益の拡大が見込まれる札幌圏輸送と北海道新幹線関係に経営資源を重点的に投入、あわせて利用の少ない列車や設備については見直すという「選択と集中」の方針を示しています。

 そうしたなか同社は今回2016年2月10日(水)、「極端にご利用の少ない駅」と同時に、2014年度の線区別収支状況も発表。鉄道事業全体では100円の営業収益を得るのに154円の経費が必要であり、414億6700万円の赤字であること、管理費を含むと営業収益より経費のほうが多い路線しか同社には存在しないことを明らかにしています。

 今年3月26日(土)、ついに北海道を新幹線が走り始め、15年後の2031年には札幌駅まで到達する予定ですが、あわせて駅や在来線の状況も変化していくことになりそうです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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2件のコメント

  1. 秘境駅ファンなんてたかがしれている。北海道新幹線導入で更に収益が悪化する懸念があるのであれば、さっさと駅を廃止するなり、路線自体を廃止する決断が必要でしょう。
    営業利益が無いんですから。

  2. 経営環境が厳しい事は民営化の時点か分かっていた事で、むしろ今まで良くやってこれた方だよ。経営収益を言うなら札幌、旭川近辺だけしか残らないよ。ある程度の合理化は仕方ないけど、車を持たない通学*通院、札幌への移動の足として、残さないと。地方沿線住民*自治体のJRへの支援策も議論し対策を実行しないといけないじゃないかな。