「次世代戦闘機」は間違い 日本のステルス実証機X-2、真の目的

「次世代戦闘機」ではないX-2、そこにある「大きな使命」とは

 恐らく、少なく見積もって2〜3兆円を捻出できるのであれば、日本は「KF-X」のさらに上をゆく国産次世代戦闘機を開発できるでしょう。

 しかし「2兆円」という額は、航空自衛隊F-15J「イーグル」の後継機としてF-35を200機導入し、さらにUH-1Jヘリコプターの後継機であるUH-Xを100機、加えて「いずも型」のヘリコプター搭載護衛艦を調達できるほどの数字であり、まったく現実的ではありません。

 次世代戦闘機の単独開発はもはや不可能に近く、これまで国産戦闘機を開発してきた欧州諸国やアメリカでさえ、今後は国際共同開発以外の選択肢を取りえなくなっています。ただ、民意を無視して出費できる中国は例外です。

 先進技術実証機「X-2」の開発を主導する技術者たちは、20年前のF-2(当時はFS-X)開発において中堅を担いました。そして将来の次世代戦闘機開発において主導的立場を担うのは、今回のX-2開発において中堅を担う若い技術者たちです。

 X-2は、単に最新技術を実証するためのものではありません。若手にベテランのノウハウを継承させる機会を与えることによって、将来ありえる戦闘機の国際共同開発において日本が主導的立場を担えるよう備えること。それこそが、X-2に与えられた大きな使命であるといえます。

【了】

テーマ特集「【ミリタリー】国産戦闘機F-2、いま直面する後継機問題」へ

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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1件のコメント

  1. >おそらく1兆円を超えるでしょう。

    何、眠たい事を言ってんの?
    順調に行って3兆円。 5兆円以内に収まれば大成功だろう。それでも得る物の方が遥かに大きい。五輪祭りで数兆円も使う事を考えたら、費用対効果はF3開発の方が遥かに高い。技術的波及効果も大きい。
    F105ライセンス生産で得た技術によりセロ号新幹線開発にフィードバックできたと、新幹線開発技術者から直接聞いた事もある。