大阪〜釜山フェリー利用者急増 LCCに対抗 伸びる日本の乗船客

大阪と韓国の釜山を結ぶフェリーの利用者が、特に日本で増えています。LCCも就航する日韓間、何が受けているのでしょうか。

船内にエステ、免税店、コンビニも

「日韓関係3重苦の時代」がようやく終息に向かうなか、大阪と韓国・釜山を結ぶフェリーで、乗客数が右肩上がりのカーブを描き始めています。

 月・水・金曜日の15時(金曜日のみ17時発)に大阪をたち、翌朝10時には釜山港へ到着。火・木・日曜日には逆コースで大阪に戻るという“ワンナイトフェリー”で、釜山〜大阪間の貨物輸送など、日韓の海上物流をメインビジネスに成長してきた韓国資本のパンスターライン(日本法人はサンスターフェリー)が運航しています。

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大阪〜釜山間を結ぶ「パンスタードリーム号」のイメージ(写真出典:パンスターライン)。

 このフェリーがユニークなのは、ほかの国内、国際航路を結ぶ日本のフェリーと異なり、「韓国唯一のクルーズ」を売り物にしていることです。船上にエンターテナーを招いたり、韓国内のカラオケテレビ番組と提携したり、一芸に秀でたクルーによるショーを展開したりと、旅客重視の船内サービスを実施。ビュッフェ式で韓流の夕・朝食を用意するのみならず、アラカルトレストランでのワインや軽食メニューの提供、さらには寿司バーを開設するなど食の充実をはかっているうえ、エステティックサロンや免税店、コンビニまで備えて、旅客用のサービスを充実させています。

 これが独自のクルーズ会社がない韓国の旅行客に受け、2010(平成22)年には釜山〜大阪航路の年間乗客数が10万人を超えて11万6000人にも達しました。

 しかし、2011年の東日本大震災による原発事故以降、風評被害もあって状況は暗転。竹島問題、従軍慰安婦問題といった日韓の政治関係悪化や、大勢の高校生を乗せて沈没した2014年の韓国客船「セウル号」事故による船旅敬遠ムードもあり、2014年は乗船客が3万8000人まで落ち込んでしまいます。

 それが日韓関係が正常化するなか、2015年から急回復。同年は5万7000人がそのフェリー「パンスタードリーム号」(2万1535総トン、乗客定員530人)に乗船し、日韓間を移動しました。

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コメント

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1件のコメント

  1. 大阪~釜山の船があれば、今度は大阪~東南アジアの及び、新潟・金沢・舞鶴~ウラジオストク便の船などを検討することは大いに値するだろう。
    他にも福岡~上海などのアジアの主要航路を西日本が押さえて置くことで地政学的にアメリカ一辺倒になりがちな関東(特に東京・千葉・茨城)、東北太平洋側と差別化する事が出来るだろう。
    GHQ計画で東京一極集中を進めた要因は、アメリカ以外の情報を入れさせない為である事が既に知っているからだ。
    だが、日本の貿易の75%はユーラシア大陸で残り15%はオーストラリアとニュージーランドになり、アメリカ合衆国との貿易は既に1割もない事は覚えておくと良いでしょう。

    それだけアメリカは落ち目の大国と言われて当然だからだ。