在来線版「ドクターイエロー」、医療技術が向上 やはり会えたら幸運? JR東海

「ドクターイエロー」同様、出会えると幸せになれるレアキャラ?

「ドクター東海」は、運転席部分にカメラが設置されています。倒れそうな木がないかなど、線路脇の状況をチェックするためです。このカメラも今回、40万画素から200万画素にグレードアップし、より細部まで確認できるようになったといいます。

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「ドクター東海」の運転席にあるカメラ。映像は車内で確認できる(2016年5月、恵 知仁撮影)。

 さて、新幹線の「ドクターイエロー」といえば運行時刻が発表されておらず、約10日ごとに1往復程度の走行なため、「出会えると幸せになれる」とも言われます。では、こちらの「在来線のお医者さん」はいったい、どのくらいの頻度で出会えるものなのでしょうか。

「ドクター東海」には、線路設備と信号通信設備を検査できる「I」と、線路設備のほかパンタグラフを備え電力設備も検査できる「II」の2編成があり、手分けをしてJR東海の全在来線を走りますが、現れるのは基本的に、線路設備の検査走行を実施する月2回。やはり「出会えたら幸運」と言えそうです。

 また「ドクター東海」は線路設備のほか年に2回、各路線で信号通信設備を、電化区間では年に3回、電力設備を合わせて検査。その“診断結果”を生かし、関係各所が線路などをメンテナンスします。

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パンタグラフを持つのは、電力設備を検査できる「ドクター東海」の「II」(2016年5月、恵 知仁撮影)。

 2編成ある「ドクター東海」のうち今回、機能向上が果たされたのは「II」で、「I」も今後、改修される予定です。ただ、JR東海の担当者は次のように話します。

「より細かいチェックができるようになりましたが、最後は人の目が重要です。高性能な機械の力に頼らず、社員の意識と技量を高めて安全運行に努めなければなりません」(JR東海 東海鉄道事業本部 工務部保線課 小川浩司課長代理)

 2016年3月26日、豪雨災害から約6年半ぶりに三重県の名松線が運行を再開した際にも、その前に、この「ドクター東海」が走行。線路の安全を確認しました。日々、何気なく列車が走る裏側には、こうした検査車両と、それに関わる大勢の人たちの活躍があるわけです。

 ちなみにJR東海以外でも、JR東日本のキヤE193系「East i-D」など、同様の在来線用検査車両を導入している会社があります。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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2件のコメント

  1. Dr東海さんは検査をするだけで医療行為と認めうる保線作業や修繕は行いません。「医療技術が高度に」というはちょいと違うんじゃないすか?

  2. 厚労省や、消費者庁からおとがめがくるかもしれません。
    検査技術なら汎用性があります