勢いづく韓国、見えてきた次期国産戦闘機「KF-X」の性能は? ぬぐえぬ懸念も

「KF-X」が抱えている大きな懸念 「試練の時」を迎える韓国

 以上のように、「KF-X」は「エンジン」と「火器管制システム」という、戦闘機として最も重要な部分(韓国のメディアでは「核心技術」と呼ばれることが多いようですが)を、ほぼ外国に頼ることになります。

 ただしこれは決して珍しいことではなく、これまで一貫して戦闘機を国産してきたスウェーデンも過去、自国産のエンジンを搭載したものは1機種も存在しません。日本の戦闘機、三菱F-2も自前でエンジンを開発できなかったためにジェネラル・エレクトリック社製のエンジンを搭載し、火器管制システムのソフトウェア開発もアメリカから技術を導入しました。

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ロッキード・マーチン社のF-16戦闘機をベースに開発された三菱F-2(写真出典:航空自衛隊)。

 あまりに肥大化しすぎた現代戦闘機の開発において「失敗」はほぼ考えられないので(許されないとも言い換えられますが)、「KF-X」はいずれ完成するでしょう。

 しかしながら現代戦闘機が、予算を超過せず、当初のスケジュール通りに開発が完了した例はほとんど存在しません。「KF-X」もまた1兆円以上の開発費を要し、計画は遅れに遅れ、その意味で“炎上”する可能性はやはり高いと思われます。

「KF-X」は韓国にとってこれまでとは比較にならないほど高き壁となり、行く手を阻もうとするでしょう。「航空立国」を目指す韓国の挑戦はいま、最大の試練を迎えようとしています。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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