ソニックブームをコントロール 超音速旅客機、再起なるか マッハ5以上も?

「なくす」のではなく、ソニックブームを「コントロール」する

 ソニックブームは、超音速飛行する航空機のどこか1か所から生じるのではなく、機体表面の様々な場所において、強さも指向性も異なったものが複数発生。この複数のソニックブームが重なりあい倍加していくことによって、強烈な爆発音が生じるのです。「静粛超音速」はこのソニックブームの発生をコントロールし、重なり合わないよう散乱させることによって達成されます。

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飛行速度は音速以下ながら、機体の一部のみ音速に達し、複数のソニックブームが発生している様子。本来は不可視だが、光を屈折させて間接的に見えている(関 賢太郎撮影)。

 ソニックブームをコントロールするためには、従来の旅客機のような“チューブ型の胴体と翼”ではなく、非常に長い機首と胴体および“デルタ型”の翼を円滑に接続し、機体表面の圧力と揚力の分布を極めて慎重に調整することが重要になります。

 従来型の超音速旅客機は高度2万メートルを飛行中でも、ソニックブームの発生により地下鉄の車内に匹敵する90デシベルの騒音が地上に到達しました。「QueSST」では、これを通常の会話と同等の60デシベルにまで抑えることができると見込みます。

 かつて唯一無二の現役超音速旅客機であった「コンコルド」は、ソニックブームの問題からアメリカ本土上空における超音速飛行が禁止されていました。2003(平成15)年に同機がリタイアしてのち、営業運航される超音速旅客機は1機も存在しなくなってしまいましたが、「QueSST」は陸上における超音速商業飛行を解禁させ、将来の静粛超音速旅客機実用化へ道を開くものとして、その成果が期待されています。

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コメント

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5件のコメント

  1. 石油の枯渇の問題があるので、安く作れる代替燃料が見つからない限り、燃費のかかる超音速機は復活しないでしょう。

  2. おそらく高価な運賃になるでしょうから、全航空便に対する割合はかなり小さく、石油枯渇問題は大きな問題にはならないのではないかと思います。今の省エネ亜音速機に置き換わることはないのでは。

  3. そんなことより、吹雪や台風で簡単に欠航しない技術を開発してほしい。

  4. ブルーエンジェルスのはソニックブームとは違うんじゃない?

  5. サメ肌が ザラザラしているのも、最近の旅客機の 主翼の先端の ちょっとが
    90度 跳ね上がっているのと おんなじですね。

    あれも ワザと 大きな 渦とか出来ないように 小さな渦を 作って 結果的には
    抵抗が 少なくなるようにと いう事ですよね?

    更に進んで、波と波が 打ち消すような 船の先端の バルバス・バウの様な
    主翼と 尾翼で 出来ないものでしょうか?