中途半端といわれる暫定2車線高速、活用の道は 実走して見えた現状

「道の駅」で便利になる高速道路 交通量の少ない路線で効果大か

●中国やまなみ街道
 広島県尾道市と島根県松江市を結ぶ尾道道と松江道には「中国やまなみ街道」という愛称がつけられおり、2015年に全線開通しました。三刀屋木次IC(島根県雲南市)から南は、道路公団民営化に伴って制度化された「新直轄区間」。全額税金で建設されたので料金は無料です。

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2015年に全線開通した松江道と尾道道(画像出典:NEXCO西日本)。

 ここはおよそ110kmもある、全国最長の新直轄区間です。道路構造は暫定2車線高速そのものですが、当初から料金無料で設計されたため、SAやPAがない代わりに、みっつのインターに隣接して「道の駅」が建設されており、非常に便利です。

「道の駅」は一般道からも利用できるぶん、投資効果が見込めます。私が利用した「道の駅たかの」(広島県庄原市)は、設備も中身も過疎地域とは思えない充実ぶりで、グルメも楽しめました。これを仮に有料高速のPAとして造ったら、交通量から考えてトイレと自販機のみになったでしょう。

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松江道の高野ICに隣接する「道の駅たかの」(2016年7月、清水草一撮影)。

「中国やまなみ街道」は中国地方を縦断する新たなルートで、瀬戸内海を越え尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」とあわせて利用すると、出雲から四国まで楽しめます。「なぜ中国側は無料で四国側は有料なのか」という不公平感があるのは否めませんが、「新直轄」というシステムや、それに沿って建設された松江道、尾道道そのものの意義は高く評価すべきです。

【了】

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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コメント

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3件のコメント

  1. 私の情報だと舞鶴若狭道、東海北陸道、上信越自動車道が4車線化に向けて着手しているようです。
    新東名高速道路や新名神は原則6車線にして、舞鶴若狭道、東海北陸道、上信越道、圏央道、高松道、東海環状道、常磐道は4車線工事をした方が良いです。
    そして暫定2車線の高速道路は休憩所だけNEXCOが運営して無料にすると良いでしょう。

  2. 現代の視点も大事だとは思いますが、
    高速道路などのインフラは30年、50年と使うと思います。

    では10年や20年後に人が車を運転しているのでしょうか?
    対面通行の危険性や交通容量の少なさの問題は無くなるのでは無いかと思います。
    なぜなら、車間距離すら開けなくても安全が保たれるように成ると思うからです。

    このように時代の変化は凄まじく、
    過去の前例が通用しない時代が近づいていると思います。
    それならば、変化が起きた際に素早く対応出来るようにする。
    その為に債務を早期に償還していく必要性があるかと思います。

    インフラなどの投資よりも技術革新に投資する方が、費用対効果が大きいと思います。

  3. 暫定2車線で建設するくらい需要がないなら初めから建設しないで、
    並行する国道の高規格化すべきだったのでは?
    高速を作るよりはるかにコストを削減できると思う。