中途半端といわれる暫定2車線高速、活用の道は 実走して見えた現状

多くの交通量が見込まれない地域で増えつつある「暫定2車線高速」。しかし制限速度が低い、追越しが難しい、重大事故の可能性、でも料金は高いなど問題を抱えています。ただ、その地域の交通状況を大きく変えている例も。多くの交通量が見込めない地域における高速道路、そのあり方は、いったいどうすべきなのでしょうか。

置き去りになっている過疎地域

「首都圏3環状(圏央道、東京外環道、首都高中央環状線)」や新東名、新名神高速の開通などで、近年、日本の高速道路環境は急速に向上しています。長年の建設資金投入が、いまようやく結実しつつあるわけです。

 ただし、著しい向上が見られるのは主に人口密集地域で、過疎地域は置き去りになっています。その際たるものが「暫定2車線高速道路」です。対面通行の2車線で追い越しは一部でしかできず、制限速度は70km/h。中央分離帯がないため、正面衝突による重大事故も少なくありません。にもかかわらず、バカ高い全国一律料金を取られるのならば、利用が低迷するのは当然。地元のドライバーは滅多に使わず、経済効果は低いままです。

 今回、私(清水草一:首都高研究家)は、西日本の日本海側を通る暫定2車線高速道路を集中的に走り、その実態を確認して来ました。

●舞鶴若狭道
 中国道と接続する吉川JCT(兵庫県三木市)と、北陸道と接続する敦賀JCT(福井県敦賀市)を結ぶ路線で、2014年7月、つまりちょうど2年前に全線開通しました。東寄りの福知山IC(京都府福知山市)〜敦賀JCT間はほぼ暫定2車線ですが、名神高速のバイパスになるため、災害時の代替路としても期待されます。

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舞鶴若狭道と北陸道が分岐する敦賀JCT(2016年7月、清水草一撮影)。

 北陸道から中国道へ抜ける場合、舞鶴若狭道を通れば近道ですし、名古屋方面から近畿地方を突っ切る場合も、こちらへ迂回すれば大都市近郊区間を走らずに済むので、安くなるケースもあります。お盆の帰省シーズンは迂回路として有効でしょう。三方五湖などをレジャーの目的地にするのもGOODです。

 実際に走ってみると、ほかの暫定2車線高速と何ら変わるところはなく、交通量も、特に東寄りは多いとはいえません。ただ舞鶴若狭道は、2010(平成22)年に民主党政権が行った「無料化社会実験」時、天橋立(京都府宮津市)などの観光地へ向かうクルマで週末に大渋滞が発生しました。人口密集地域に隣接する場所を走っているだけに、タダにするとかえって不便になる面もあるわけですが、暫定2車線区間に関しては、その利用価値の低さから考えて、なんらかの割引があってしかるべきだと考えます。

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コメント

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3件のコメント

  1. 私の情報だと舞鶴若狭道、東海北陸道、上信越自動車道が4車線化に向けて着手しているようです。
    新東名高速道路や新名神は原則6車線にして、舞鶴若狭道、東海北陸道、上信越道、圏央道、高松道、東海環状道、常磐道は4車線工事をした方が良いです。
    そして暫定2車線の高速道路は休憩所だけNEXCOが運営して無料にすると良いでしょう。

  2. 現代の視点も大事だとは思いますが、
    高速道路などのインフラは30年、50年と使うと思います。

    では10年や20年後に人が車を運転しているのでしょうか?
    対面通行の危険性や交通容量の少なさの問題は無くなるのでは無いかと思います。
    なぜなら、車間距離すら開けなくても安全が保たれるように成ると思うからです。

    このように時代の変化は凄まじく、
    過去の前例が通用しない時代が近づいていると思います。
    それならば、変化が起きた際に素早く対応出来るようにする。
    その為に債務を早期に償還していく必要性があるかと思います。

    インフラなどの投資よりも技術革新に投資する方が、費用対効果が大きいと思います。

  3. 暫定2車線で建設するくらい需要がないなら初めから建設しないで、
    並行する国道の高規格化すべきだったのでは?
    高速を作るよりはるかにコストを削減できると思う。