F-35A、ついに実戦配備 しかし機関砲、SWなし 空自導入に問題は

日本の実戦配備は「完全作戦能力」獲得後、2020年ごろか 戦闘機の「質的優勢」確保へ

 本年中に航空自衛隊へ引き渡されるF-35Aは、ロッキード・マーチン社(アメリカ)のフォートワース工場(テキサス州)で組み立てられた合計4機のみであり、この機体は当分のあいだ、アメリカでの訓練に使用され、来日しません。

 航空自衛隊が導入するF-35A合計42機のうち、残りの38機は三菱重工の小牧南工場(愛知県)に設置されたF-35A最終組み立て検査工場(FACO)で生産され、2017年には“日本産初号機”(累計5号機)が完成する予定です。ただ、航空自衛隊において1個飛行隊を実戦配備するのに必要な約20機が揃うのは、2019年から2020年頃になると見込まれています。

「完全作戦能力」を得る「ブロック3F」ソフトウェアの実用化は2017年が予定されており、2019年には「ブロック4」も完成します。それ以前に製造された機体も、新しいソフトウェアへアップグレードが可能です。したがって、航空自衛隊のF-35Aがスクランブル(緊急発進)のためアラート待機を開始するころには、「完全作戦能力」を得た状態になっているでしょう。

 F-35Aは機動性にやや欠けるため、すばやく不明機を迎撃する能力はそれほど優れているとはいえません。しかしながら卓越した情報収集処理能力、ネットワークによる情報共有能力によって、敵機を早期発見する能力は“世界最強”ともされるアメリカ空軍のF-22戦闘機さえはるかにしのぎます。またそのステルス性は、演習において既存の戦闘機ではほとんど探知できないことが確認されています。

 戦闘機による現代の空中戦は、先に発見してミサイルによる先制攻撃を加えたほうが“勝利者”となります。こうした能力が抜群に優れるF-35Aの実戦配備は、近年活発化する中国空軍の戦闘機に対し、質的な優勢を当面、維持し続けることを可能にするでしょう。

【了】

テーマ特集「【F-35特集】気になる価格や性能、自衛隊による調達から諸外国の配備事情まで徹底解説」へ

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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6件のコメント

  1. 航空自衛隊が導入するF35Aは制空戦闘機型です。25ミリ機関砲を装備していますし,サイドワインダーも装備可能です。何をどう間違ったら「対地攻撃型」と混同できるのでしょうか?

    • えっ ・・・ そのような間違った理解をしない様に、と読者にクギを刺す目的で描かれた記事ですよね、これ

    • えー 一応F-35Aはサイドワインダーも25mm機関砲も装備できます
      ですが現在のソフトウェア ブロック3iではサイドワインダーと25mm機関砲の統合は出来てません ですから記事はきわめて乱暴で誤解を招く表現が多いのですが大枠では正しい 
      サイドワインダーと25mm機関砲のシステム統合は次のブロック3Fで実現します 完成は2018年といわれています システムアップデートなので完成さえすれば空自機にもすぐに統合されますよ

    • asamasanroku-railさん

      記事タイトルとか、「現時点のF35Aは...」と書かないところとか、途中までだけ読まれたら、誤解されても仕方ない。
      「煽れば読んでもらえる」と考えてるライターさん達なのだから、仕方ない。
      そういう記事をちょくちょく載せるのりものニュースなのだから、仕方ない。

  2. ちょっとググればすぐわかる程度の事実確認もせずに
    間違った情報をでかでかと書いて
    よく軍事評論家を名乗れるな

  3. タイトルが・・・
    【F-35A、ついに実戦配備 しかし機関砲、SWなし 空自導入に問題は】
    これは嘘八百ねつ造でしょ、「~なし」ってさ。
    言い訳すら出来ないよね。