実際どう戦う? 車輪の戦車、16式機動戦闘車 総火演に見えたその運用の一端とは

名は体を表す、強みは空輸も可能な機動展開力

 16MCVは10式戦車よりも軽量で、航空自衛隊のC-2輸送機に搭載して空輸するこが可能であるといわれています。また、装輪式であることから、従来の戦車よりも舗装路を高速移動することが可能で、最大速度は100km/hです。

 たとえば、香川県の善通寺駐屯地に所在する、第14旅団の第15即応機動連隊に所属する第15機動戦闘車隊の16MCVは、四国から全国に伸びる高速道路などを使用し、自走によって展開する訓練を重ねていて、16MCVによる市街地走行の各種データを収集しているといいます。

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市街地を走行する16MCVの車列。装輪車両であることから、装軌車両のように市街地輸送でトレーラなどに積載する必要がない(矢作真弓撮影)。

 機動性に富む16MCVは、総火演でもその能力を発揮してくれました。

 10式戦車と同等またはそれ以上ともいえる射撃統制装置を装備していて、自身が高速で走行しながらの射撃が可能になっています。これは、軽量化したことによる防御力の低下を、機動性の高さで補っているともいえます。つまり、敵に発見される前に移動してしまえばよいのです。また、高速で移動することができるので、もし敵にロックオンされても、丘や岩、建物の陰に逃げ込むこともできるでしょう。

 装輪式であるため不整地走行能力は戦車に劣るものの、8つのタイヤを持つため各タイヤの接地圧が低く、よほどの悪路でない限り安定して走行することができます。そもそも、16MCVは市街地での運用をメインに考えているので、そこまで高い不整地走破能力は必要ありません。

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コメント

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2件のコメント

  1. 「迅速な展開」について疑問があります。

    空輸するには航空優勢の確保が必要でしょうが、列島の防衛戦においてそれは画餅では?ということ。
    また、地球の裏まで展開する米軍であれば、安全な隣国の空港へ運んでも「迅速な展開」と言えるでしょうが、東日本から西日本へ運ぶことが「迅速な展開」という程のものか?ということ。

    ですので、16MCVについても、整地での移動能力が高いことによる「迅速な展開」にとどまるのではないかと思うのですが?

  2. >人員輸送型にした場合は後部の扉が小さいために、車体後部の形状を改良しないと迅速な人員の昇降は無理でしょう

    人員輸送車は三菱が自費開発してるMAVのことだと思うけど
    なんかMCVまんま流用するかのような勘違いしてない?
    公式に写真出てるから見てみてから記事書いて