なぜ前倒し? 陸自最大セレモニー「2018年中央観閲式」 その歴史と今回の注目点とは(写真13枚)

自衛隊の観閲式(観艦式、航空観閲式)は陸海空毎年持ち回りで実施されていますが、2018年は本来海自の順番だったところを陸自が実施しました。その理由と、これまでの観閲式の歴史、今年の見どころなどを解説します。

正式名称は「自衛隊記念日観閲式」

 昨今、たび重なる大規模災害に加えて、中国の海洋進出や北朝鮮の弾道ミサイルおよび核兵器に関する問題などで、自衛隊に注目が集まっています。また最近ではカレーや携行糧食などのいわゆる「ミリ飯」人気や、お見合い番組などでの自衛官人気などもあり、自衛隊の画像や映像を頻繁に見るようになっています。

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中隊旗手として行進に参加していた女性自衛官(2018年10月8日、月刊PANZER編集部撮影)。

 そうした時、陸上自衛隊のイメージ素材として使われるのが、大人数の隊員が隊列を組んで徒歩行進したり、戦車や装甲車が車列を組んでパレードしたりするものですが、そのような光景が見られる代表的な機会といえるのが「観閲式(かんえつしき)」でしょう。とくに陸自最大規模なのが、埼玉県と東京都の都県境に所在する朝霞駐屯地(朝霞訓練場)で実施される「中央観閲式」です。

 2018年で46回目を数える中央観閲式ですが、インターネットなどでは「平成30年度第65回中央観閲式」とされていたりします。この違いは何なのでしょう。

 それは、1954(昭和29)年の自衛隊発足以来、1995(平成7)年まではほぼ毎年、陸海空各自が「観閲式(陸自)」「観艦式(海自)」「航空観閲式(空自)」をそれぞれ実施していたのに対し、1996(平成8)年以降は陸海空の1年ごとの持ち回り(陸→空→海の順)となり、陸自は3年ごとに行うこととなったものの、回数は陸海空の通算となったためです(2017年は空自主催の「第64回航空観閲式」、2018年は陸自主催の「第65回中央観閲式」)。

 しかも2001(平成13)年の第48回中央観閲式(陸自)は、アメリカ同時多発テロの影響で中止になったものの回数はそのまま積算され、翌年の航空観閲式は第49回として実施されたため、これらの影響から実施回数と名称回数に開きが生じているのです。

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新制服で参加していた音楽隊員。今回の観閲式では新制服を着た隊員が多くいた(2018年10月8日、月刊PANZER編集部撮影)。
昨年度から部隊配備が始まったばかりの16式機動戦闘車は今回15両がパレードした(2018年10月8日、月刊PANZER編集部撮影)。
対ゲリラコマンド装備を着用して行進する第32普通科連隊の隊員(2018年10月8日、月刊PANZER編集部撮影)。

 ちなみに中央観閲式が中止になったのは、この2001年以外では過去2回あります。最初に中止になったのは1959(昭和34)年で、この時は伊勢湾台風の災害派遣の影響でした。そして2回目は1988(昭和63)年の昭和天皇の容体悪化(御不例)にともなうものです。なお、1990(平成2)年には即位の礼を11月に開催するための特例で、中央観閲式が約1ヶ月繰り上げて実施されました。

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