豪華観光列車の前にもあった北海道「幻の東急線」計画 わずか2年で中止のワケ

東急の観光列車「ザ・ロイヤル・エクスプレス」が、JR北海道の線路を走ることが決まりました。実は60年以上前にも、東急は北海道の地に新線を建設して列車を走らせようとしたことがあります。どのような計画だったのでしょうか。

きっかけは北海道の鉄道会社買収

 JR北海道や東急電鉄などが連携して、北海道で観光列車を走らせます。JR横浜駅と伊豆急行の伊豆急下田駅(静岡県下田市)を結ぶ東急の豪華観光列車「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤル・エクスプレス)」の車両を使い、2020年に札幌~道東エリアで運行される予定です。

Large 190303 sapporoexp 01
北海道で運行されることが決まった東急「ザ・ロイヤル・エクスプレス」(2017年7月、恵 知仁撮影)。

 東急は車両の貸し出しや車内サービスなどを行いますが、列車を運行するのはJR北海道。運行業務に東急はタッチしません。しかし、東急はいまから60年以上前に「札幌急行鉄道」という新線を計画し、北海道で列車を運行しようとしたことがありました。

 東急は1957(昭和32)年、札幌の市街地と近郊の温泉地(定山渓温泉)を結ぶ鉄道路線を運営していた、定山渓鉄道の株式を買収。同年12月には傘下に収め、北海道進出の拠点としました。

 この買収に先立ち、東急の実質的な創業者で当時の東急会長だった五島慶太氏は、札幌から東へ約20km離れた江別市まで新線を建設する構想を明らかにしました。もともとは江別の有力者が話を持ち掛け、五島氏が同調したもの。1958(昭和33)年3月3日、五島会長を代表とする発起人グループが、「札幌急行鉄道」の名称で営業許可(地方鉄道敷設免許)を国に申請しました。

 申請書に添付されていたとみられる線路平面図や札幌陸運局長の調査書(国立公文書館所蔵)によると、計画区間は札幌~上江別間の20.5kmでした。国鉄(現在のJR北海道)の札幌駅から南へ約1km離れた場所(現在の札幌市営地下鉄 大通駅付近)に、札幌急行鉄道の札幌駅を建設。函館本線の北側を通って江別市内に入り、終点の上江別駅で夕張鉄道に接続するルートが考えられていました。

この記事の画像をもっと見る(4枚)

テーマ特集「【鉄道計画特集】新路線 新駅 連続立体交差事業 次に開業するのはどこ? 過去にあった「幻の新線計画」は?」へ

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. これ、全然寒冷地仕様でも無い車両を北海道で運行して大丈夫なのかな?
    夏だけ運行?