フェリーではなぜテーマソングが流れるのか 地元に浸透、進化系も登場する背景

多くのフェリーで、出港時や到着時にテーマソングが流れるのはなぜでしょうか。なかには何十年も歌い継がれ、テレビCMを通じて地元に根付いてるものもあれば、船長や社員が作ったものも。それぞれに、フェリー会社の想いが込められています。

1970年代から親しまれてきた『さんふらわあの唄』

 出航時や到着時に、船内でテーマソングが流れるというのは、多くのフェリーにおけるひとつの特徴といえるかもしれません。なぜ各社、そのような曲を用意しているのでしょうか。

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大阪~志布志航路へ2018年に就航した「さんふらわあ さつま」。船内では『さんふらわあの唄』が流れる(画像:フェリーさんふらわあ)。

 フェリーの船内で流れるテーマソングの代表例として、関西と九州を結ぶフェリーさんふらわあの3航路と、商船三井フェリーが運航する大洗~苫小牧航路の「さんふらわあ」各船で流れる『さんふらわの唄』が挙げられます。「さんふらわあ さんふらわあ 太陽に守られて 行こう」というサビが印象的なこの曲は、八代亜紀さんなどへ楽曲を提供している増永直子さんが作詞、NHK『おかあさんといっしょ』などの子ども番組で作曲を手掛ける渋谷 毅さんが作曲したもので、様々な歌手に歌い継がれつつ、1970年代から現在にいたるまで使われています。

 1970年代当時はこれ以外にも「さんふらわあ」にまつわる曲が複数制作されており、サトウハチローさん作詞でコーラスグループのダークダックスが歌うもの、フォークシンガーの小室 等さん作曲のものなどがありました。いずれも当時、若者の人気を得ていたミュージシャンたちです。「さんふらわあ」の船は、ほかのフェリーと一線を画すレストランシアターやプールといった豪華設備をもって登場しましたが、これらテーマソングも、銅鑼や汽笛による出航の合図が一般的だった時代に、人々へ斬新な印象を与えたのではないでしょうか。

 船内におけるテーマソングの使用には、実務的な側面もあります。フェリーはほかの乗りものと比べて船内が広く、乗船から出航、到着から下船まで時間がかかります。特に到着時は、船室内の乗客になるべく早く下船口あるいは車両甲板まで行ってもらわなければなりません。デパートなどでは閉店時間が近づくと『蛍の光』などを流して退店を促しますが、それと同じような役割といえるでしょう。

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コメント

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1件のコメント

  1. 熟睡している客を起こすためには、大音量で流す必要がありますから!