「エスカレーター+ちょっとだけ階段」なぜ? 全部エスカレーターにできないのか

エスカレーターの始まり、または終わりの部分が、少しだけ階段になっている中途半端なケースが見られます。近年は、途中で一部水平になるエスカレーターもありますが、それでも解消は難しいようです。

理由は割と単純?

 駅などのエスカレーターで、始まりや終わりの部分が少しだけ階段になっているという中途半端なケースが見られます。

 全部エスカレーターにできないものなのでしょうか。

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エスカレーターが中途半端に終わり、階段でつないでいるケース(乗りものニュース編集部撮影)。

 日本エレベーター協会に聞いたところ「長さが合わなかったためでしょう」ときっぱり。エスカレーターは角度が決まっており、既存の階段の一部を削ってエスカレーターを設置したような場所では、どうしても長さが合わず、階段でつながざるを得ないケースがあるそうです。

 一方で近年は、途中で角度が水平に変わるエスカレーターも増えています。これなら中途半端に階段を設けずに済むのでは、と思いきや、これは角度や長さを調整するものではないとのこと。

 水平部付きのエスカレーターは、下から上までそのまま伸ばすと途中で天井にぶつかってしまうような場所で、天井が低くなるところを避ける目的が一般的だそう。また、長くて高低差のあるエスカレーターで、高さの恐怖を和らげるため水平部付きにすることもあるといいます。

 終端部が階段の中途半端なエスカレーターは、やはり、もともと階段があって後から設置するようなケースとのこと。「設計上おかしなものですから、最初からそうするというのは、よほどのことがない限りは……」と話しますが、敢えてそのようにした珍エスカレーターが、川崎市にある世界一短いエスカレーター「プチカレーター」です。

 京急川崎駅の地下街と商業施設「川崎モアーズ」を結んでおり、段数にしてわずか5段、1991(平成3)年にギネスブックへ登録されています。もともと、途中の踊り場を挟んで5段+5段の短い階段で、この一部をエスカレーターにすべく工事を始めたところ、床下に1本の太い梁が通っていることが判明。工事の断念も考えられたものの、踊り場の上側5段分だけエスカレーターを作ってしまったのだそうです。いまや、ある意味で名所にもなっており、川崎市は「産業文化財」として紹介しています。

【了】

【写真】「世界一短いエスカレーター」も中途半端に階段が

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コメント

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2件のコメント

  1. エスカレーターは人感センサーがあったとしても電力を無駄に使うし、利用中の歩行を禁ずるなど制約も多いですね。

  2. >日本エレベーター協会に聞いたところ「長さが合わなかったためでしょう」ときっぱり。
    なるほど!福岡のパルコ地下1階のエスカレーターにもそういう箇所(過去岩田屋時代からずっと)がありました。
    情報ありがとうございます。