レーダー選定、くすぶる異論=米軍事大手、二つのレーダー―陸上イージス代替

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艦首から見た海上自衛隊のイージス艦「まや」の弾道ミサイル探知・追尾レーダー(八角形)。「SPY1」と呼ばれる米ロッキード・マーティン社製=8月、神奈川県横須賀市

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策について、政府は洋上に配備する案の絞り込みを急いでいる。防衛省はアショアで契約した地上用の米ロッキード・マーティン社製のレーダー(契約額350億円)を転用する方針だが、自衛隊内では「再選定すべきだ」との異論がくすぶる。与党からも慎重な判断を求める声が出ている。

 レーダー選定は2018年7月に行われ、米軍事産業大手のロッキード社の「SPY7」とレイセオン社の「SPY6」が競った。米海軍が13年に導入を決めていたSPY6が有力視されたが、SPY7を選定。政府筋は「探知・追尾能力のデータは特定秘密が含まれるため公表できないが、米本土防衛用のレーダー技術を使うSPY7との差は歴然だった」と強調する。

 しかし、海上自衛隊内では「地上から洋上配備に変更する以上、評価を検証すべきではないか」との声が根強い。米イージス艦向けに製造段階にあるSPY6の方が技術的な信頼性や運用面で分があるとの見方があるからだ。

 代替案ではイージス艦新造などが検討されているが、地上用レーダーを搭載するには、大容量の電力と、システムの熱を冷やす強力な冷却装置が必要。重量が増すため船体を大型化し、構造を強化するとコストなどが課題になる。レーダー性能試験も必要で、日本が負担すると費用が膨らむ。

 米海軍などによると、SPY6は3年前に弾道ミサイルと複数の巡航ミサイルを同時に探知・追尾する試験に成功した。15回の弾道ミサイル探知試験を重ね、新型イージス艦への搭載を契約。射撃管制システムとの連結試験を経て24年に配備される。

 自衛隊幹部は「先行する米海軍と同じレーダーであれば、建造のノウハウや不具合の更新情報も共有しやすい。総合的にどちらに利点があるのか改めて比較すべきではないか」と話す。

 自民党の国防議員連盟は、SPY6と7の各長所と短所を挙げ、「(アショアの)教訓を踏まえ拙速を排し、幅広く客観的かつ正確な情報を得て、評価・決定すること」などとする提言を策定。10月30日に岸信夫防衛相に申し入れた。

 岸防衛相は記者会見で、「イージス・アショアのレーダーなどの構成品選定において、SPY7の方が優れていた。詳細な比較をしており、この時の評価を尊重していきたい」と述べ、再選定には否定的な考えを示している。

【了】

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