高校生のサバ缶宇宙へ=「思い続ければ夢かなう」―野口さんも「楽しみ」・福井

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宇宙食のサバ缶研究に励む福井県立若狭高校の生徒=10月9日午前、福井県小浜市

 福井県立若狭高校(同県小浜市)が開発したサバの缶詰が近く、野口聡一さん(55)が長期滞在する予定の国際宇宙ステーション(ISS)に届けられる。「うちの缶詰を宇宙に飛ばせるのでは」。そんな生徒の声から始まった宇宙食への挑戦。野口さんはISS滞在中に味わう予定で「しっかり賞味するので報告を楽しみに」と話している。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が宇宙食として認証した日本食はラーメンやカレーなど45品目。安全性や保存性の基準が厳しく、大手食品会社の開発が多い中、同校のサバ缶は異彩を放つ。

 開発は、同校と統合した旧小浜水産高校で始まった。生徒と開発に携わった小坂康之教諭(43)は都内の水産大を卒業後の2001年、サバの産地で知られた福井の同校に着任した。しかし、「産業は下火になっていて地域は元気がなく、生徒のやる気もなかった」と振り返る。

 地域が抱える課題を授業に生かそうと、漁師らを訪ね歩いた。そんな中、地元の水産業者から「地魚の加工品がヨーロッパに輸出できず、打撃を受けている」との声を聞いた。欧州連合(EU)では、食品の衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」が導入されていたが、国内は普及が遅れていたためだった。小坂さんらは水産高校で作っていたサバ缶のハサップ取得に向け、製造や品質管理を改善。06年に認証を獲得する頃には、生徒らの意識も変わっていた。

 ハサップはもともと、米航空宇宙局(NASA)が宇宙食のために作った仕組み。生徒の中から「宇宙に飛ばせるのでは」との声が上がり、JAXAの認証を目指す挑戦が始まった。厳しい基準をクリアするため、製造工程の記録や管理も生徒たちが分担した。味覚が鈍る宇宙向けに、しょうゆと砂糖で濃いめの味付けとし、無重力でも水分が飛び散らないよう、くず粉でとろみを付けた。

 先輩から後輩へと研究のバトンをつなぎ、18年に認証を取得した。小坂さんは「思い続けていれば、夢はかなう」と喜びをかみしめる。卒業生の大道風歌さんは「多くの人の思いが込められたサバ缶が打ち上がるのはうれしい。宇宙での味の感想を早く聞きたい」と期待を寄せている。

【了】

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