熊本、「脱ダム」から「流域治水」へ=環境保全に課題

 球磨川流域のダム計画が再び動きだすことになった。熊本県は流域の環境を保全するため、川辺川ダム以外の治水を探ったが、遊水地整備などの代替案は高コストがネックに。災害が激甚、頻発化する中で7月豪雨が起き、ダムを含むハード・ソフト両面から対策を講じる「流域治水」にかじを切った。ただ、地元ではダムによる水質悪化への懸念は根強く、環境保全との両立が課題となる。

 球磨川は日本三大急流の一つで清流としても知られ、アユ漁や川下りなどの漁業、観光業が住民の暮らしを支えてきた。蒲島郁夫知事は2008年、地元首長らの反対を理由に、ダム計画の白紙撤回を国に求める考えを表明。「球磨川を守る」と強調した。

 これを受けて、県は国と「ダムによらない治水」を模索。流域の一部では、より多くの水が流れるようにする河道掘削を実施し、19年6月には遊水地整備や堤防かさ上げなど複数の対策を組み合わせた10案をまとめた。しかし、事業費は2800億~1兆2000億円、工期も45~200年かかると試算され、行き詰まりを見せていた。

 今後、県は治水専用の「流水型」ダムの建設を国に求める。洪水時のみ水をためる仕組みで、平時からためる「貯留型」と比べ水質への影響が小さいとされるためだ。

 ただ、流水型にも課題は残る。今本博健京都大名誉教授(河川工学)は「魚の遡上(そじょう)を阻害し、洪水時は土砂もたまる」と指摘。地元では明確に反対を唱える首長はいないが、豪雨災害後の今でも、住民の中には環境悪化への懸念が残っている。

 蒲島知事は「人命、財産と清流を守ることを両立させる」として、新たな方針への理解を求めていく考えだ。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. 貯留出来る水量にも制限があるから、川の改修も必要なのでは?
    そうなるとどっちもどっちという話で防災能力が思うほどよくならずに、予算はダム並みにかかることになるのでは?
    結果そもそも川を改修するから水質が悪くなるか、よくても魚が遡上できない状況になるのでは?