イラン、勢い増す強硬派=対欧米、対立か融和か―ソレイマニ司令官殺害1年

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イランのロウハニ大統領=2020年12月26日に大統領府が提供、テヘラン(AFP時事)

 【カイロ時事】イラン精鋭の革命防衛隊で対外工作を率いたソレイマニ司令官が米軍の無人機で殺害されてから3日で1年。イランでは、国際社会での孤立も辞さない保守強硬派が勢いを増す一方、強力な制裁を科すトランプ米政権との対立で経済が疲弊の一途だ。8月に退任を控えた保守穏健派ロウハニ大統領は、米国のバイデン新政権発足を機に制裁緩和や融和を模索するとみられ、各勢力のせめぎ合いが激化しそうだ。

 「テロに立ち向かった平和の擁護者。終わりなき闘いの物語だった」。イラン国営メディアは死去1年を前に、ソレイマニ氏の功績をたたえる報道を繰り返した。同氏が活躍した1980年代のイラン・イラク戦争や、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦などを振り返り、「敵からも一流の軍事戦術家と評された」と称賛した。

 ソレイマニ氏は昨年1月3日、隣国イラクで米・イスラエルが関与した作戦で親イラン武装組織指導者と共に殺害された。イランはその後、イラクの駐留米軍基地をミサイルで攻撃。保守派重鎮のライシ司法長官は今月1日の追悼式で、「殺害に関与した者に安全な場所は地球上にはない」とさらなる報復を示唆した。

 昨年11月には著名なイラン人核科学者も首都テヘラン近郊で暗殺された。ロイター通信によると、イランは中部フォルドゥの地下核施設で行っているウラン濃縮活動について、濃縮度を20%まで引き上げる計画を国際原子力機関(IAEA)に通知。緊張が収まる兆しはない。

 昨年2月の国会選挙での保守強硬派の圧勝を受け、ロウハニ大統領の求心力は低下した。今年6月の大統領選では、ロウハニ師を批判してきた強硬派が優勢とされ、政権を握れば欧米との溝は一段と深まりかねない。

 任期切れが迫ったロウハニ師の期待は米国の政策転換で、昨年11月の米大統領選後には「テロリストのトランプが去るのは喜ばしい」と述べた。ただ、政権交代で核合意復帰を視野に入れる米国との対話開始のハードルは高い。米側が掲げる復帰条件やミサイル開発制限要求にイランは反発しており、隔たりを埋めるのは容易でない。

 反米急先鋒(せんぽう)の最高指導者ハメネイ師は昨年12月、「トランプが去っても米国の敵視行為は終わらない。オバマ(前米大統領)の時代も、米国のイラン政策は有害だった」と主張。「敵を信用してはならない」と国内の引き締めを強めている。

【了】

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