「海上走る」鉄道遺構公開=約150年前の「高輪築堤」―JR東

JR東日本は8日、日本初の鉄道路線の一部で、約150年前に海上に造られた「高輪築堤」の遺構を報道陣に公開した。高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)周辺で進める再開発工事で出土したもので、整然と積まれた石垣など当時の様子をそのまま伝えていた。
同社や港区立郷土歴史館などによると、高輪築堤は1872(明治5)年10月に日本で初めて開業した鉄道路線(新橋―横浜間)の一部で、開業直前に完成した。当時の海岸から数十メートル沖合に築かれ、堤上を走る蒸気機関車が現在のJR田町―品川駅付近(約2.7キロ)をつないだ。
「海の上を走る鉄道」と親しまれ、築堤を題材にした浮世絵も多く描かれたが、1914年に完了した埋め立て工事で状態が不明に。およそ1世紀を経た2019年4月、品川駅改良工事の際に築堤の石垣の一部が見つかった。
出土した築堤は高さ約4メートルで、断続的に計約770メートルが確認されている。のり面には数十センチ四方の石垣が敷き詰められ、船が海へ出るための橋梁(きょうりょう)も見つかった。線路は残っていない。
JR東は港区教育委員会などと協力して調査を進め、築堤の一部現地保存や移築保存を検討している。同社事業創造本部の伊藤喜彦担当部長は「150年前の高輪築堤を継承することで、この地域の歴史の価値の向上につなげたい」と話した。
【了】
コメント