英の核増強「NPT弱体化」=欧州専門家から批判

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英軍の核戦力、弾道ミサイル「トライデント」を搭載する原子力潜水艦「ビクトリアス」=2013年4月、スコットランド沖(AFP時事)

 【ロンドン時事】英政府は16日に発表した安全保障・外交政策の包括的見直し「統合レビュー」で、核弾頭保有数の上限を180発から260発に引き上げる方針を表明した。これに対し、欧州の核専門家から「核拡散防止条約(NPT)の正当性を弱体化させる」と批判する声が相次いでいる。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)核軍縮・軍備管理・不拡散部のティティ・エラスト上級研究員は17日、時事通信とのインタビューで「(核増強は)NPTの正当性を弱め、核不拡散の規範を損なう。保有国の二重基準は核不拡散の動きを助ける力とはならない」と英国の動きを強く批判した。「NPT第6条は、米ロ英仏中の核保有5大国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を定めており、英国の行動は明らかにこれに沿わない」と述べ、NPT違反の可能性を指摘した。

 また「英国のように、極めて仮定的な安保上の論理的根拠を基に核保有の権利を主張することは、どのような安全保障上の懸念があるにせよ、他国への核の広がりを否定する説得力のある根拠とはなり得ない」とも主張。英国の決定が世界の核軍縮の潮流に否定的な影響を及ぼすことに懸念を示した。

 英王立国際問題研究所(チャタムハウス)国際安保部のベイザ・ウナル副部長も「核増強の根拠は極めて恣意(しい)的であり、冷戦時代の論理に基づくものだ」と断言。英国の新方針を切り捨てた。

 英国は2010年時点で、核弾頭数の上限を225発と定めていた。しかし「225発に信頼性がないのなら(新たな上限である)260発がどうして信頼に足るのか。追加の35発が、攻撃力を確保し、核攻撃から自国を守ることになるのか」と、副部長は次々疑問点を挙げた。

【了】

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