中韓外相、対北朝鮮で「協力拡大」=王氏、米の包囲網にくさび

【北京、ソウル時事】中国の王毅国務委員兼外相は3日、韓国の鄭義溶外相と福建省アモイで会談した。韓国外務省によると、両外相は朝鮮半島をめぐり「非核化実現と恒久的平和定着という目標の共有」を確認。朝鮮半島情勢の安定的管理と平和プロセス進展に向けた環境づくりのため、中韓が「協力を持続、拡大する」ことで一致した。
韓国の聯合ニュースによれば、王氏は会談冒頭、朝鮮半島問題をめぐり「韓国と共に対話による政治解決プロセスを推進する」と強調。鄭氏は「韓中両国は韓(朝鮮)半島の完全な非核化という共通目標がある」と述べ、「中国の積極的役割」に期待感を示した。
韓国が要請している習近平国家主席の訪韓については、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いた後、早期実現を図るとした。日中韓首脳会談の早期開催に向けた協力も再確認した。
朝鮮半島情勢は、北朝鮮のミサイル発射などで緊張が高まりつつある。一方、バイデン米政権は日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」を通じ民主主義陣営による対中包囲網形成を進め、韓国にも合流を促す方向。これに反発する中国は、北朝鮮への後ろ盾としての影響力を外交カードとして駆使し、米韓同盟強化にくさびを打ち込む構えだ。
中韓外相会談のタイミングは、米国で2日(現地時間)に行われた日米韓3カ国の国家安全保障担当高官協議とほぼ重なった。韓国は安全保障を同盟国の米国に、経済を最大の貿易相手国である中国に依存しており、対立を深める米中両大国のはざまで板挟みの構図となっている。
鄭氏は3月31日の記者会見で「米中はいずれも重要だ。選択の対象ではない」と述べていた。
中国国営新華社通信によると、王氏は会談で「中韓関係は深化、発展する重要なチャンスに直面している」と秋波を送った。さらに「国連を核心とする国際体制を共に守るよう望む」と訴え、米主導の枠組みへの参加をけん制した。
鄭氏は王氏の招待で2、3両日の日程で訪中。2月に就任した鄭氏の初の外遊先となり、米国優先の韓国外交の慣例を破る形になった。中韓外相会談は昨年11月のソウル開催以来。
【了】
コメント