「旅客機は自力では前にしか進めない」はホント?→「実は可能です!でもしません」…その納得の理由とは
通常、旅客機は後進せず、バックの際にはトーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されることが一般的です。しかし実は自力で後退することも理論的には可能です。なぜやらないのでしょうか。
物理的にはできる…けども!
空港で旅客機が駐機場を出て誘導路に向かうシーンなどでは、機体がトーイングカーと呼ばれる専用車両によって牽引されバックしたのち、前進して出発することが一般的です。トーイングカーを使わないプロペラ機などでも、出発は自力で前進が基本です。旅客機は「自力では前にしか進めない」のでしょうか。
実は「自力バック」は物理的には可能です。
この「自力バック」には、着陸後の減速などに用いる、ジェット機でいうところの「逆噴射」という機能を用います。これはエンジンの噴射・推進方向を後ろではなく、どちらかというと前の方向に変えることで、着陸後の減速などに用います。この大きな推力を持つ装置を停止状態で行えば、当然後ろ向きに推進できるわけです。
しかし、この自力での後方推進は「パワーバック」ともいわれますが、実際の運用では、ほとんど使われることはありません。
これは、ひとつには地上車両やグランドハンドリング(機体の地上支援)を行うスタッフなどを巻き込む危険性があること、そして、バックするために「エンジンをいつもと違う方向に吹かす」分、大きな騒音、そして多くの燃料消費が発生してしまうリスクがあるためとされています。
【了】
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