なぜ鉄道と連携できなかったのか? 需要低迷にあえぐ都営バス24時間運行

鉄道と連携していたら結果は違った?

 今回の24時間運行に関して、仮に渋谷から先で鉄道が動いていたら、また違った結果が出たかもしれません。しかしそれは大変難しいのが現状です。

 列車が走ることによって、線路は大なり小なりダメージを受けます。そうしたダメージを補修し、常に安全な状況で列車が走れるようにするため、線路は定期的にメンテナンスが必要です。そのメンテナンス用の時間が、終電から初電までの深夜帯なのです。逆に言えば24時間運行をしてしまうと、線路のメンテナンスができなくなってしまいます。

 アメリカやヨーロッパの都市では、24時間運行を実現している鉄道もあります。ただしそれらは上り線Aと上り線B、下り線Aと下り線Bといったように、線路が4本ある「複々線」構造。今夜はA線に列車を走らせB線はメンテナンス、逆に明日はB線に列車を走らせA線をメンテナンス、といったやり方が可能であるため、24時間運行できるのです。

 猪瀬前都知事は渋谷~六本木間の都営バス24時間運行を成功させたのち、ほかの区間でも24時間運行を始める構想を持っていたとされます。もしかしたらその先、何らかの方法で鉄道の24時間運行も考えていたかもしれません。しかし都知事が交代した現在、その未来を見られる可能性は低そうです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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