鉄道会社は「ゆりかごから墓場まで」 進む多角化

お水の商売も

 鉄道会社の事業多角化には、次のようなものもあります。

●ミネラルウォーターなど飲料の製造販売
JR東日本やJR東海グループなどが展開。(株)JR東日本ウォータービジネスが製造販売を行うミネラルウォーター「From AQUA」は、群馬・新潟県境の谷川連峰直下に上越新幹線のトンネルを建設した際、大量に発生して工事を悩ませた湧水を活用したもの。

●スーパー銭湯
JR貨物「天然温泉 天神ゆの華」(福岡市)、京成グループ「笑がおの湯」(千葉県内)など。

●フィットネスクラブ
JR東日本グループが「JEXER」、「Relaxe」を展開。ほかに東武や西武、東急なども。

●農業
2014年9月4日(木)にJR東日本がトマト生産の新会社設立を発表するなど、JR、私鉄とも参入している会社が多い。JR九州は養鶏事業を始めており、鶏卵の販売も。

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「JR九州ブランド」のシンボルとして高い注目を集める「ななつ星in九州」。

 こうした事業多角化にあたって、すでに鉄道を使う大勢の顧客が存在していること、その移動手段を握っていること、信用力が高いことなど、「鉄道会社である」ことは強い武器です。不動産会社が「鉄道会社」という信用を買うため零細鉄道会社を買収したとされる事例がありますし、JR九州が豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」を赤字でも運行するのは、鉄道業においてはもちろん、多角化された様々な事業において「JR九州」ブランド価値を高めるため、と見る向きもあります。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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