50歳の東海道より遅い北陸新幹線 「260km/hの壁」は破れるのか

最高260km/hに留まる本質的な理由

 技術的に不可能ではなくとも、整備新幹線の最高速度を260km/hから引き上げるには次のような問題があります。

・260km/h対応で設計されている現在の線路設備、また騒音や振動などの対策を、より速いスピードでも十分なものに改良する必要がある。
・スピードアップに伴って線路設備や車両の消耗、ダメージが大きくなるため、メンテナンス費用が増える。
・整備新幹線の線路は独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)」が所有し、それをJRが借用している形。そのためJR独自の判断でスピードアップはできない(最高速度が260km/hより上の東海道、山陽、上越、東北(東京~盛岡)は各JRが所有)。
・スピードアップによって、JRが鉄道・運輸機構に支払う線路のリース料が増大する可能性がある、など。

 これら諸問題をクリアし高速化したとしても、そのコストで料金が高騰、乗客が減少するなどして収益の悪化を招いては意味がありません。またそうしなくとも航空機などライバルに対し所要時間、料金といった面で「商品」として価値がある状況ならば、乗客にとっても運行するJRにとってもそれで十分、バランスがとれているという見方ができます。

 つまり、なぜ北陸新幹線など整備新幹線の最高速度が50歳の東海道より遅い260km/hであるのか。スピードアップしないのか。その本質的理由は、コストやライバルなど様々な要素を勘案した上で、その速度でも「商品」として十分な競争力、価値を持っているから、スピードアップの必要性が乏しいからなのです。

 北陸新幹線は最高速度260km/hで、東京~金沢間が最短2時間28分で結ばれます。対し航空機は羽田~小松間が1時間。それに空港までのアクセスや搭乗手続き等に要する時間、手間を考えると、新幹線は現状の260km/hで十分な競争力があると思われます。

 また上越新幹線の最高速度は現在240km/hですが、設備的にはより速く走ることも可能で、かつては最高速度275km/hという当時の日本で最も速い列車が走っていました。しかし現在240km/hに留まるのは、それで十分だからと考えられます。

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コメント

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11件のコメント

  1. 北陸はずっと遅く走ってもらって結構。
    上越新幹線の本数が少なくなって本当に迷惑してます。

    • 迷惑している人が上越新幹線のほうが少ない、収益的に上越新幹線のほうが低いからじゃないですかね。
      だから車両も東北新幹線のお古のE2、引退間近のE4、秋田がE6になって余った使い回しのE3(現美)、北陸新幹線で大活躍のE7と、上越新幹線向けに新たな系統の開発がされないことからも分かるでしょ?
      田中角栄が無理矢理引いた『負の遺産』です。
      高崎~新潟で折り返し運転すれば、線路容量不足もクリアされて、いいことづくめなんですよ?

    • 上越新幹線は冬場にガーラ湯沢行きだけ走らせて、オフシーズンは全面運休でヨシ!!
      あ、東京~高崎の『たにがわ』だけは残そう。

    • 狭軌にして、『いなほ』を高崎あたりまで走らせれば?wwww
      新潟で隣のホームになるんだし。

  2. 北陸は260で十分だと思う。碓氷峠付近の急勾配区間もあるし、線形もそれほど良くないし、東京・大阪を乗り通す需要もあまり考えなくていいから、今で十分。それよりもコスト管理をきちんとすることで、JR西日本の収支改善に手堅く寄与してもらった方が良い。そういう意味では、スピードアップする暇があるならさっさと新大阪まで伸ばせと、そっちの方が優先ですわ。
    あと、上越新幹線は実質的に新潟行新幹線みたいなものだから本数はあれで十分。もっと増やしてほしいなら客を増やすこと。やれることと言えば、山形新幹線や秋田新幹線を高速新線(サイズはミニ規格のままで良いと思う)で作り直して、上越新幹線の延伸区間として取り込む事。
    今後、東北新幹線は札幌延伸で忙しくなるだろうから、ミニの併結が運用上の負担になってくると思う。暇な上越に引き取ってもらって、東北の負荷軽減と上越のテコ入れを図るのがベスト。ただしコストを無視した場合の話だけど。

    • なんで北陸新幹線は長野県-新潟県付近でうねうね迂回してるのだろう? スピードアップ以前に経路に問題があると思う。やっぱり未だに我田引鉄なのかな?

      越後湯沢分岐(一時そんな案が出てたはず)にしとけば、もっと関東-北陸間の短縮ができたはず。碓氷の勾配や飯山の難工事も避けれた。群馬-新潟県境付近限定の275km/h営業運転も復活すれば、更に時短。新たな区間の速度向上よりも実現は早い。
      この経路は在来線が長野経由新幹線に対抗しようとするくらいだから(ほくほく線超快速)、新幹線で時短出来ないはずがない。

      長野駅を通すなら、飯山に向かわず白馬経由富山県直行が出来てれば、かなりな短縮。北アルプス貫通が困難だとして最短経路なのにやらなかった様だけど、実現してれば白馬や黒部の観光も盛り上がったことだろう。

      越後湯沢分岐にしてたら、長野止まり新幹線になってしまう県からはキツい文句が出ただろうけど、上越新幹線末端の県からは素直にカネが出てただろう(仮に越後湯沢-新潟間にミニ新幹線車両を一部導入しても)。全般的には丸く収まってた気がする。

  3. 速度をあげるなら320km/hまで上げないと時短効果は殆どないし、北陸新幹線なんかは上げる必要性は低いでしょう。
    (全線開通したと仮定して)東京~新大阪に北陸新幹線使うのは物好きしかいないはずで、基本的に東京~金沢、新大阪~金沢・富山あたりの利用想定だろうから、この速度で十分な時間で到着できる。
    それよりも北陸新幹線は今後どうやって本数を増やすか?が問題になるかと。
    上越新幹線がE2/E7化され、常時10/12両になることから、E4の8両を走らせるよりも座席数が増えるので、きっと更なる減便や、高崎で新潟へ折り返す便をつくり、線路を空けることになるのかもしれないですね。

    • 上越新幹線の本数(頻度)を減らせば、更に乗客が減る。個人的には長野行と新潟行は各8両で、高崎で分割併合すればいいと思ってたが、対応車両は消えていく。北陸方面の座席数が足りないなら、新潟行を削らずとも編成を14両なり16両にすればいい。高崎行の筋を北陸に伸ばしてもいいはず。
      営業最高速度は上越新幹線もせめて260km/hまでは上げて欲しい。高崎までは北陸新幹線列車にも効く。

      最大の問題は大宮以南。最高110km/h。東北新幹線も入ってくる(逆か?)から、東京駅の2面ホームだけでは上越も北陸も増発は難しい。
      車両の騒音対策が進んで軽量化もされたのに、130km/h~160km/hに上げれないのか。大宮から新宿へ上越新幹線延伸は出来ないものか。(誰の負担で?)

    • あと、高崎折り返しは無いだろう。高崎大宮間は余裕あるし、高崎からの乗客も多い。折り返すとしても大宮。大宮で半分くらい(池袋新宿渋谷方面旅客)降りるから、上越以外も大宮折り返し作っても良いくらい。

  4. これは
    広島空港が山の中不便極まりなく広島駅まで
    1時間掛かるため
    新山口も
    宇部空港から山口まで
    ローカル線で上新山口
    更にローカル線に
    乗り換えてようやく山口に到着

  5. 了様、恵様ありがとうございます。やはり北陸新幹線は青色のJRが関わっている為速度が出しにくいのでありますよ。脱線事故のトラウマが未だに続いておりますし、山陽新幹線ですら事故以降はダイヤ改正に於いて所要時間短縮は公表しても、速度向上の事については公表しないぐらいですから。実際は東北新幹線と同様に320km/hか、それ以上で走行してるかも⁈