台風到来前の大規模運休 前例なき決断の理由とは?

運転再開まで逆に時間が延びるケースも

 2000(平成12)年9月11日から12日にかけて、名古屋市周辺が「東海豪雨」に襲われました。走行中だった東海道新幹線の列車は次々にストップ。約70本の列車が身動きできなくなり、結果として5万人もの乗客が車内で一泊。選手が乗っていたため阪神巨人戦も中止になるという出来事がありました。

 この豪雨の直接的な原因は台風ではなく秋雨前線で、予測が難しかった面はありますが、運転見合わせの判断がもっと早く出されていれば、ここまで大きな混乱にはならなかっただろうと考えられています。

 また列車がホームで運転見合わせになれば良いのですが、駅と駅のあいだに停止すると、特に通勤電車では気分の悪くなる人、生理現象に困る人が出てきて、車内にある非常用ドアコックを操作。乗客が線路に降りてしまう事態がしばしば発生しています。こうなると線路の安全確認をせねばならず、逆に運転再開までより多くの時間が必要になってしまいます。

 「列車内に乗客が取り残される」と乗客に相当の負担をかけるうえ、鉄道会社にもその対応で大きな負担が生じるほか、さらに混乱して運転再開が遅れる原因にもなるのです。

 これを防ぐ意味もあって、天候などによって混乱が予想される場合はJR西日本が今回行うように、列車の運転本数を全列車がホームに停車できる程度に削減する「間引き運転」や「全面運休」といった対策を、身動きできなくなる前にあらかじめ実施するわけです。

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