人口減少社会に私鉄のビジネスモデルは活きるのか 「よろず屋」化を進める小田急

私鉄のビジネスモデルが直面する人口減少社会

「小田急くらしサポート」で受け付けられた内容は、小田急グループをはじめとするサービス提供会社へ取り次がれる仕組みです。たとえば食料品の電話当日宅配サービスはスーパー「Odakyu OX」を展開する小田急商事へ、家事代行やハウスクリーニングは小田急デパートサービスや小田急ライフアソシエへ、またハウスメンテナンスやリフォームは小田急ハウジングや小田急グループのホームセンター「ビーバートザン」へ取り次がれます。

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小田急の看板列車、新宿と箱根方面を結ぶロマンスカー「VSE」(2009年9月、恵 知仁撮影)。

 日本の大手私鉄では、鉄道路線を軸に不動産事業や小売業、飲食業、レジャー事業などを行って鉄道とそうした関連事業を相乗的に発展させたり、沿線地域の価値を高めていくビジネスモデルがよく見られ、多様な会社がグループに存在しています。そうしたグループ会社を活用して生活の様々な相談、要望に対応していくこうした「よろず屋」スタイルのビジネスは、私鉄らしいものといえるかもしれません。

 また小田急はこうしたグループの総合力で沿線を活性化させ、「人口減少時代でも持続的な成長を実現」したいとしています。多様な事業展開で総合的な地域発展を実現してきた私鉄のビジネスモデル、それが今後の人口減少社会でも効果的に機能するのかどうか、行方が注目されます。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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