一般道でレーシングカーが激走 動画製作の知られざる秘話

目指したのはF1マシンも走るイギリスのレースイベント

 また目的はもうひとつあります。

 海外では道路を封鎖するような地域密着のレースがポピュラーで、イギリスのイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」のレースでは、戦前のレースカーから最新のF1マシンまでが観客の目の前を走行するそうです。

「こういう文化にはスピードというものがリアルにあります。実際見ると感動しますし、最終的な目標としてそんなイベントにしたいです」と、高田さんは言います。そして「日本にはいい車がたくさんあるし、世界に誇れるいい道路もある。いいドライバーもいます。ですので、もう少し『スピードの文化』を高いものにしたいです」と語ってくれました。

 今回のレースには、そんな「文化を育てる」という意義にシートメーカーとして有名なレカロが賛同し、メインスポンサーとしてサポート。アストン・マーティンやメルセデス・ベンツ、BMW、アウディもペースカーやセーフティーカーで協力するなど、多くのメーカーによる支援があったため、企画を実現できたといいます。

 ディレクターは以前から雑誌『モーターヘッド』で動画を撮影しているオーストラリアの映像作家、ルーク・ハクスハム。空撮はプロのジャイロオペレーターが行い、DVDの空撮にはヘリコプターを飛ばすなど、雑誌の企画としては異例ともいえる大掛かりな撮影が実施されています。

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今回行われたヒルクライムは三栄書房の雑誌『モーターヘッド Vol.14』とDVD『オプション Vol.251』で紹介されている(2015年2月、下山光晴撮影)。

 ちなみに、この模様が掲載された2014年12月26日発売の雑誌『モーターヘッド Vol.14』は年内中に完売。出版不況と言われているなか、映像と誌面をリンクさせる手法で売り上げを伸ばしています。またこの成功を参考に問題点を改善しながら、今後も第2回、第3回の「モーターヘッドヒルクライム」が開催される予定です。

【了】

Writer: 下山光晴

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