2015年度は勝負の年 都が鉄道整備構想を発表

都が「整備効果高い」とした5路線とは

 こうした状況のなか、東京都は学識経験者などで構成される委員会を2014年5月に設置。都内の鉄道ネットワークの在り方について調査・検討を開始し、各路線の整備効果や課題などの調査が進んだことからこの2015年3月6日、先述の「中間まとめ」を発表しました。

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都が「中間まとめ」で整備効果が高いとした5路線(作図:草町義和)。

(1)東京メトロ有楽町線延伸 豊洲~住吉
(2)都営地下鉄大江戸線延伸 光が丘~大泉学園町
(3)多摩モノレール延伸 箱根ヶ崎方面
(4)多摩モノレール延伸 町田方面
(5)JR東日本羽田空港アクセス線

 これらのうち(1)から(3)までは、2000年に運輸政策審議会が取りまとめた18号答申で「目標年次(2015年)までに整備着手することが適当である路線」とされていました。また(4)についても18号答申で、「今後整備について検討すべき路線」とされていました。しかしいずれも、2015年までに開業・着工のめどが立っていない状況です。

 また(5)の羽田空港アクセス線は2000年の18号答申には盛り込まれていませんが、まったく無関係というわけでもありません。18号答申には東京テレポート・品川~東京貨物ターミナル~羽田空港口~桜木町間が「今後整備について検討すべき路線」として盛り込まれており、このうち東京テレポート~東京貨物ターミナル間が、今回の羽田空港アクセス線と重なっています。

 これら東京都の「中間まとめ」にある路線は、すなわち都が整備を進めたいと考えている路線といえます。はたして実現するのでしょうか。国の交通政策審議会が今年度中に取りまとめる予定の次期答申が、その行方を握っています。

【了】

Writer: 草町 義和

鉄道ライター。鉄道誌『鉄道ファン』『鉄道ジャーナル』『鉄道ダイヤ情報』やニュースサイト『レスポンス』などで、鉄道の記事を多数執筆。著書に『鉄道計画は変わる。』『鉄道未完成路線を往く』など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 個人的に世田谷区の西側に二子玉、田園調布あたりから北に通す方が有益な気はする、また新宿方面から羽田空港への強化。多摩都市モノレールは悪くないが。