変わる日本の空 存在感を強めるエアバス

エアバス導入に踏み切った日本の大手

 ボーイング、エアバス両社とも、売り上げを最も伸ばしているのは通路が1本のナローボディ機(単通路機)です。

 エアバスはベストセラー機である小型の「A320」ファミリーを、2014年1年間で計490機納入。ライバルのボーイングも、やはりベストセラー機の小型「737」ファミリーをほぼ同数の485機引き渡しました。両社ともそれら主力機種のさらなる改良を進めており、「A320」ファミリーでは新型エンジンや主翼先端にシャークレット(小さな翼)を装備して航続距離や環境性能を向上させた「A320neo」が、「737」ファミリーではエンジンなどを進化させた「737MAX」が、まもなく世界の空でデビューします。

 また2014年の1年間における受注機数でみても、エアバスの1456機に対してボーイングは1432機と、両社ほぼ互角です。

 かつてはボーイング機が圧倒的に多かった日本の空も、勢力図が少しずつ変わりはじめました。たとえば、急成長を続けるLCC(ローコストキャリア)市場では、日本の3社(ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、バニラエア)ともにエアバス機(A320)で運航しています。

 大手では全日空が2014年3月、5機種におよぶ新機材の発注を決め、現在の国際長距離路線における主力機材「777-300ER」の後継機としては、同じボーイング「777」シリーズの次世代型「777X」を選定しました。しかし小型機ではエアバス「A320neo」の導入に踏み切っています。

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上は全日空に納入された長胴型のボーイング「787-9」1号機。下はJALも発注したエアバス「A350XWB」(2014年8月、2014年11月、秋本俊二撮影)。

 そしてライバルの日本航空は、国際線の更新機材としてエアバス「A350XWB」の購入を決定。標準型の「A350-900」18機と長胴型の「A350-1000」13機、計31機の発注を確定したのに加え、25機をオプション契約しました。運航開始は2019年が目指されています。

 ボーイングとエアバスそれぞれの最新鋭機が、日本の空港から揃って飛び立つ──。そんな日が、もう間近に迫っています。

【了】

Writer: 秋本俊二

作家/航空ジャーナリスト。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。新聞・雑誌、Web媒体などにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオの解説者としても活動。『航空大革命』(角川oneテーマ21新書)など著書多数。

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コメント

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1件のコメント

  1. 騒音、振動、乗り心地ではエアバスが○のように感じます。
    日本発着便ではヨーロッパ、中東方面はエアバスが、太平洋方面はボーイングと住み分けてるように感じてます。