公有民営で四日市あすなろう鉄道誕生 その課題は日本の課題

「公有民営方式」が意味すること

 こうした状況を受けて近鉄は2012年、内部・八王子線を廃止してバス高速輸送システム(BRT)への転換案を示しました。内部・八王子線の線路敷地をバス専用道路に改築し、そこにバスを走らせるというものでしたが、沿線の住民は内部・八王子線の廃止に強く反対。四日市市も「バスではたくさんのお客を運べない」などとして存続を要望しました。

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足を伸ばせば対面に届きそうな内部・八王子線の車内(2010年2月、恵 知仁撮影)。

 その結果、2013年には「上下分離方式」の一種である「公有民営方式」への移行を条件に、鉄道の存続を図ることが決定。2014年には近鉄と四日市市が出資する四日市あすなろう鉄道が発足し、今年4月1日から同社が内部・八王子線の運行を引き継ぐことになりました。

 「上下分離方式」とは、地上の施設(車両を含む場合も)を保有する事業者(下)と、列車を運行する事業者(上)を分離して経営する方式のことです。このような形態の鉄道は既にいくつもの例があり、たとえば大阪の中心部を横断する京橋~尼崎間のJR東西線は、関西高速鉄道という第三セクターが線路を保有し、JR西日本が関西高速鉄道に施設の使用料を支払って列車を運行しています。

 内部・八王子線の場合も、施設や車両は四日市市が近鉄から譲り受けて保有し、列車の運行は四日市あすなろう鉄道が担当します。ただし、四日市市は施設や車両を「無償」で四日市あすなろう鉄道に貸し出し、メンテナンスなどの維持費も同市が負担。四日市あすなろう鉄道は使用料を負担することなく、列車の運行に専念することになります。

 このように、地方公共団体(公)が施設を保有して無償で運行事業者(民)に貸し出す方式を、公有民営方式と呼びます。運行事業者は使用料を支払う必要がないため、列車の運行に伴い発生する経費が大幅に削減され、経営の改善に大きな効果があるとされています。

 既に鳥取県の若桜鉄道が2009年から公有民営方式に移行しており、2009年度から2011年度までは黒字を計上しました。内部・八王子線の場合、利用者は比較的多い方ですし、特殊な規格ゆえに割高な維持費も四日市市が負担しますから、短期的には公有民営方式の導入により経営が大きく改善されると見られます。

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コメント

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6件のコメント

  1. 以前からも他のメ-ルにて書き込みしておりましたが
    今回,市の所有になりましたので改軌を検討する方が良いでしょう
    その場合はjr規格又は湯の山線に合わせることでしょう
    後は路線の延伸計画でしょう?

    • なら鉄チャンがクラファンで金出して⁉️

  2. まずは、計画的に路線延伸及び改軌:1067mm:でしょう?
    まず変更路線について、笹川通り-蒔田踏切間です。使用地は市道日永堀木線と阿倉川富田線です、
    後、内部釆女が丘/河曲間です。これでjr東海に運行させることができるようになります。以上内部線関連
    次に西日野線関連です。西日野-笹川団地間と近鉄四日市-jr四日市間です。出来れば六名あたりまで
    生けれはよいですが?

    • なら鉄チャンがクラファンで金出せば⁉️

  3. まずはマイカーを規制する施策を行うことでしょう。
    その第一は駐車場の利用料を上げる方法です。市がやれることがあります。
    固定資産税を上げれば良いだけです。後は道路規制することでしょう。
    これでかなり公共交通に移行できます。その後に路線延伸すれば良いでしょう?

    • んなことしたら市長は次の選挙で落選‼️車社会に勝つ方策をドアホな私は思い付かない…