相互直通運転の意外なデメリット? 「選ばれる沿線」になるには

相互直通運転のデメリットは「意識しない」こと?

 ひとつは相互直通運転が拡大したことです。例えば東京の池袋から横浜の中華街へ向かうとき、東京メトロ副都心線に乗って、気がつけば元町・中華街駅に着いている。「東横線に乗っている」という意識はほとんどないでしょう。自分のPASMO(電子マネー)のお金がどこの鉄道会社に引き落とされたのかも、ほとんどの方が気にしていないと思います。

 さらに、もうひとつ大きな理由があります。それは渋谷駅が地下化したことです。渋谷駅が地上にあった頃は、街を電車が走り、「ここは東急の街」だと人々に印象づけることができました。しかし、いまは違います。地中深く走る電車に、意識はなかなか向かないものです。東急としては、いままで以上に路線のイメージを打ち出さなければ、と思っています。

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地上にあった当時の東急東横線渋谷駅(画像出典:photolibrary)。

■なぜ路線のイメージを打ち出すことが重要なのでしょうか?

「選ばれる沿線」にしないと競争に負けてしまいますし、現在は世界的に街の個性が問われているからです。そして「オンリーワン」の路線になるためには、東横線も田園都市線も個性が違いますが、それぞれがそれぞれの地域ブランドを高めていくことが大事です。

 そのため私たちは、地元で面白いことを発信し続ける方たちを応援しています。人々の協調行動を活発にすること、すなわち「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」を強化することで、地域のブランドを高めていきたいのです。ひいてはそれが、沿線と路線の価値に繋がると思っています。

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 同じ東急電鉄のなかでも個性の異なる東横線と田園都市線。しかし「路線価値」=「代え難い魅力」を高め、各路線が「オンリーワン」であり続けるという、目指す方向は同じでした。それが今後、日本が迎える人口減少社会において「鍵」になることなのかもしれません。

【了】

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コメント

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4件のコメント

  1. 沿線人気もそうだが、

    横浜市民として
    東横直通や東京上野直通で気になるのは

    北関東・埼玉から横浜へ出てくる人、
    横浜から埼玉・北関東へ出かける人

    どちらが多いんだろうか?

    • それは北関東・埼玉から横浜へ出てくる人でしょう。
      東上線には川越、国営武蔵丘陵森林公園、小川町の山、
      西武には入間基地、狭山茶、秩父があるが、
      どれも横浜に比べると弱い。

      【湘南】新宿ラインからも分かるが北から南への流れのほうが多いだろう。

    • JR北海道が「単独では維持出来ない路線」なるものを発表したが、
      逆を言えば直通運転すれば維持出来るかもしれないということだ。

      将来を見据えて直通運転しまくりたくなる理由がよく分かった。
      東横線地上ホーム部分をJRの埼京線に明け渡し、地下深くになっても。

      埼京線には東横経由の相鉄が将来来るね
      詳しくは存じ上げないが

  2. 小さな事かもしれませんが、今まで始発および終着駅であったものが大半の列車が通過点になるのですから
    、待てば座れたものがそうでなくなります。東急の渋谷駅の場合は救済措置としてそれなりの頻度で渋谷折返しの列車を設定しては有りますが、JR(東)の上野東京ラインの場合はもっと悲惨で東海道/東北/高崎線とも東京/上野始発は格段に減らされ朝夕のラッシュ時は今まで以上に混雑しています。便利になった利用者もいるでしょうが、大半の乗客からすれば便利性の向上よりも不便になったと思うのではないでしょうか?さらに事故や車両故障等に伴うダイヤの乱れも、車両の運用範囲の拡大により長期化する傾向にあります。下手をすれば丸一日運休など珍しくありません。直通運転のデメリットについては会社側からの視点ならばそうなのでしょうが、もう少し利用者の視点も混ぜてみては如何でしょうか?