最後の国鉄形鉄道連絡船、引退へ 宮島航路に新造船

青函連絡船などと同じ元国鉄の鉄道連絡船として唯一、現在も運行されている広島の宮島連絡船。そこに1隻だけ残っていた国鉄時代を知る船が、ついに引退することになりました。

鉄道連絡船に唯一残っていた「国鉄」を知る

 JR西日本宮島フェリーは2015年7月3日(金)、老朽化した「ななうら丸」の代替として2016年11月上旬に新「ななうら丸」を就航させると発表しました。

 このJR西日本宮島フェリーは「宮島連絡船」とも呼ばれ、広島県の宮島口と宮島駅とのあいだを運行。鉄道が走っていない区間を船で結ぶ「鉄道連絡船」のひとつです。かつて国鉄・JRが運行していた青函連絡船(青森~函館)、宇高連絡船(宇野~高松)などの仲間で、この宮島連絡船も過去は国鉄が運行していました。現在、JRが運行する鉄道連絡船は青函トンネルや瀬戸大橋の開通に伴い、この宮島連絡船ただひとつになっています。

厳島神社の大鳥居を背景に航行する「ななうら丸」(2012年3月、恵 知仁撮影)。

 今回、老朽化に伴って引退する宮島連絡船の「ななうら丸」は、国鉄が分割民営化されてJRになるわずか2ヶ月前の、1987(昭和62)年2月に就航。鉄道連絡船で現在運行されている唯一にして最後の国鉄形連絡船です。この引退によって国鉄の分割民営化からおよそ30年で、鉄道連絡船から「国鉄」が消えることになります。

大きく変わるJR「ななうら丸」

 国鉄末期に就航した現在の「ななうら丸」は総トン数196トンで、航海速力は8ノット。客定員は675人です(自動車航送をしない場合)。また乗用車13台を積載できます。

新「ななうら丸」の外観イメージ。前後対称なのが特徴(画像提供:JR西日本)。

 そしてJR時代、2016年11月に就航予定の新「ななうら丸」は総トン数275トンで、航海速力は9ノット。旅客定員は800人です(自動車航送をしない場合)。また乗用車6台を積載できます。

 また国鉄「ななうら丸」とJR「ななうら丸」は、船のスタイルが大きく変わります。新しいものは船首と船尾が同じ形をし、操縦装置もプロペラも前後にそれぞれ備えている「両頭船」タイプで、接岸時に転回する必要がありません。

 JR西日本宮島フェリーは新「ななうら丸」導入で、「世界遺産航路にふさわしい船舶として、快適性や豪華性など、お客様満足度の観点からさらなる向上を目指していく」としています。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道ライター、イラストレーター。「鉄道」や「旅」に関する執筆活動や絵本の制作を行っているほか、鉄道車両のデザインにも携わる。子供の頃からの旅鉄&撮り鉄で、日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済み。完乗駅はJRが稚内で、私鉄が間藤。メインは「鉄道」だが、基本的に「乗りもの」好き。

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