なぜクルマがハッキングされるのか 技術発展の裏にある危惧

今後ますます多くなるハッキングの危機

“クルマのハッキング”について、ユーザーだけでなく自動車メーカーも、セキュリティ意識は決して高いとはいえないのが現状のようです。

 あるメーカーの担当者は「車載コンピュータについてはバグの消し込みを色々とやってきましたが、セキュリティはあまり考えたことがありませんでした」と言い切るほど。また別の開発者は「通信などは自動車開発の傍流的な存在とされてきたので、社全体で深刻に考えてこなかったのは事実。今後は開発の形も大きく変わるというか、変えざるを得ないでしょうね」と話します。

 実際にハッキングされたクルマについて、クライスラーは対応ソフトを配布。そして国内仕様車は問題ないとしています。またトヨタは、ハッキング例は有線での侵入であり、通信での侵入は困難としています。

 いずれにせよ、今後は自動運転を見据えての車々間通信や、路上に設置されたセンサー類との通信など“クルマのIT化”がさらに進むのは確実なだけに、セキュリティの強化はもちろん、“防犯意識”を持つことが大切になるでしょう。

 まさかと思うかもしれませんが、1万台が感染して暴走が各地で多発したり、ステアリングが反対に切れるクルマが大量発生することも、あり得ない話ではありません。クルマも買ったら、まずはウイルス駆除ソフトをインストール、という時代がやってきてもおかしくはないでしょう。

【了】

Writer: 近藤暁史

ファッション誌から自動車専門誌編集部を経て独立。新車はもちろんのこと、メンテナンスや旧車なども得意ジャンル。モットーは「壊れたら自分で直す」で、愛車は20年以上連れ添ったFIAT500など。FIATひと筋のFIATバカ一代。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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