最新鋭「サイドワインダー」全規模量産へ 背後へも射撃可能に

進化する「サイドワインダー」 すれ違う敵機への射撃が可能に

 1982(昭和57)年、イギリス海軍の「シーハリアーFRS.1」に搭載され、フォークランド紛争へ投入されたAIM-9Lは、従来型では補足できなかった機体と空気との摩擦熱から発せられる特定の赤外線を捉えることが可能となり、「オールアスペクト(全方位)照準能力」を獲得します。

 ついに敵機と正面から向き合った状態でも射撃が可能になり、撃破確率は80%へ到達。「撃てば命中する」ミサイルとなりました。この戦いで「シーハリアー」は、アルゼンチン空軍の戦闘機に完勝します。

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ヘルメット搭載ディスプレイと連動することによって真横への攻撃すら可能となった。画像はイメージ(画像出典:ボーイング)。

 そして最新鋭のAIM-9Xには、「オフボアサイト照準能力」がもたらされました。「オフボアサイト照準能力」とは、正面方向(ボアサイト)以外の目標を捕捉可能であることを意味します。

 AIM-9Lは、自機の機首を中心にして広がる30度の扇型の内部へ敵機を置き、「ロックオン」してから射撃する必要がありました。しかしAIM-9Xは、パイロットのヘルメットと連動して一旦、パイロットが見た方向へミサイルを飛ばします。その後、ミサイルが標的をロックオン。そのため攻撃可能な角度は自機の機首を中心に90度、すなわち真横をすれ違う敵機にさえ射撃が可能です。

 またAIM-9Xのロケットノズルは推力偏向方式となっており、噴射の方向を制御することで自機の後方へと回り込める高い機動性を持っています。

 このAIM-9Xと同等のミサイルとしては、イスラエルの「パイソン5」、イギリスの「アスラーム」、欧州共同開発の「アイリスT」、ロシアのR-74、日本の04式空対空誘導弾などがあります。旧世代のAIM-9Lは、いまも航空自衛隊のF-15など世界中の戦闘機に搭載されていますが、すでに新世代のミサイルが世界的な主流を占めるようになっています。

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コメント

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3件のコメント

  1. う〜む。『戦闘妖精・雪風』のフリップナイトみたいだ。

  2. 多様性があるといい たとえば対地、対艦 対潜にも使えるようにすること  大事だよ。 でもガチガチのアホ多いからね。この世には! 考えもつかないだろうが、きずいた時はもう遅いだろう。   アホ

  3. フォークランド紛争の戦果は、ミサイルだけでなくイギリス軍パイロットの技量の高さもあるのだが。