暫定2車線は世界の非常識 日本の高速道路、その課題

異常な日本の高速道路、考え方を変えれば

 ただ、既に4車線への拡幅が決まっている下記の区間については、その限りではありません。

三陸自動車道(仙台港北~利府JCT)
館山自動車道(君津~富津竹岡)
上信越自動車道(信濃町~上越JCT)
東海北陸自動車道(白鳥~飛騨清見)
舞鶴若狭自動車道(福知山~舞鶴西)
湯浅御坊道路(有田~御坊)
高松自動車道(鳴門~高松東)
長崎自動車道(長崎多良見~長崎芒塚)

 しかしこのほかにも、交通量が比較的多く、冬季の積雪によって正面衝突事故が起こりやすい区間は、優先的に暫定2車線から4車線への拡幅が望まれます。なにしろ2車線対面通行の高速道路自体、世界の常識から見れば“異常”なのですから。

 国交省の基準では、「交通量1万台/日」が拡幅の目安ですが、これを8000台/日に引き下げるとともに、積雪や将来性を加味すると、以下の区間(合計約700km)が“拡幅対象”になります。

磐越道(会津若松~新潟中央)
日本海東北道(豊栄SA~荒川胎内)
常磐道(いわき中央~岩沼)
東海北陸道(飛騨清見~小矢部砺波JCT)
舞鶴若狭道(舞鶴西~敦賀JCT)
阪和道(御坊~南紀田辺)
岡山道(北房JCT~賀陽)
米子道(蒜山~米子)
山陰道(宍道JCT~松江玉造)
徳島道(藍住~川之江東JCT)
高知道(高知~須崎東)

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東九州道の一部区間では、上下線がコンクリート壁で仕切られている(2015年8月、清水草一撮影)。

 残る暫定2車線区間は北海道・東北・九州に集中しますが、当面は中央にコンクリート壁を設置したうえで、有料区間に関しては暫定2車線の利用価値の低さに合わせ、料金を半額程度に下げるのが現実的ではないでしょうか。過疎地は一般道の流れが速い分、暫定2車線高速は4車線区間に比べ、総合的に見て半分程度の利用価値しかないのが実情だからです。半額に下げれば交通量は3割は増えるでしょうから、その分、減収額も抑えられます。

 ただ心配は、暫定2車線区間の料金を安く設定すると、地元から「値上げになるなら4車線化するな」という声が沸く可能性があることです。これについてはまた別途、施策を考える必要があるでしょう。

【了】

Writer: 清水草一(首都高研究家)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で、首都高研究家/交通ジャーナリストとして活動中。

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コメント

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7件のコメント

  1. 暫定2車線区間の料金を半額にする意味は?
    この記事は後半が意味不明。

  2. 利用が少なく、暫定2車線での開業で、速達効果がなく、料金を下げるべきというならば、そもそも高速どうろなど建設すべきでなかったのではないか。筆者も会計検査院も視点がズレまくり。

  3. 暫定二車線はかつてあなたが著書で主張した快速国道の改良版でしょうが
    自分で作らせておいて批判するとかアホかよ

  4. 4車線(片側2車線)区間で両側2087台/日の区間もある位だし、(山口IC~徳地IC)
    両側2000台/日以上で4車線化して大丈夫だと思う

  5. ポールと同じ幅で設置できるコンクリ壁(あるいは鉄の壁)を開発すれば良いんじゃね。4車線化せずに。
    工事の際はIC間を短期集中工事で。

  6. そもそも「・・・高速道路」との名前がおかしです、首都高も同じ。だから速度違反が絶えない。例、「・・・道」でよい。

  7. いやいや何を言うか とりあえず道路網を拡大し、必要に応じて増設する という合理的な手法じゃないか!!

    交差点の多い市街地から外れた「田舎」的な場所の一般道路は交差点が少なく一時停止が少なくて済む という点ではある意味「高速道路」状態。その上にさらに並行して高速道路まで造るから二重投資三重投資みたいで疑問だ。

    2車線でも4車線でも 安全性 が取れる設計にすることが第一でしょ。