「次世代戦闘機」は間違い 日本のステルス実証機X-2、真の目的

まもなく初飛行を迎える、防衛省と三菱重工により開発が進められている先進技術実証機「X-2」。「心神」の非公式愛称を持つこの機体は「次世代戦闘機」とも表現されますが、それは正しくありません。このX-2は、ある「大きな使命」を持って登場しました。

「戦闘機の一部」しか盛り込まれていないX-2

「心神」の非公式愛称で知られる、防衛省技術研究本部と三菱重工によるステルス性を持つ先進技術実証機「X-2」が、初飛行への最終段階に入りました。

 2016年1月28日(木)、この先進技術実証機に「X-2」という制式名称が与えらました。そして建国記念日の2月11日(木・祝)、県営名古屋空港ではじめて公の場に姿を現し、地上滑走試験を開始。こののち、高速滑走試験やブレーキ試験が行われる見込みで、問題が無ければ2月22日(月)以降に初飛行が実施されると推測されます。

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「X-2」の制式名称が与えられ、初飛行を間近に控える先進技術実証機(写真出典:防衛省技術研究本部)。

 このX-2は、一部全国紙の報道にみられるような「次世代戦闘機」ではありません。従来、個別に研究されていた戦闘機用エンジン、推力偏向装置、高度な飛行制御、ステルスの理論に基づく設計、新素材による機体構造といった各種要素を実際にひとつへ統合し、問題なく機能するかを実証するための「技術実証機」です。

 またX-2で試験される要素は、「戦闘機の一部」でしかありません。現代戦では赤外線や可視光センサー、レーダーなど様々な電子機器によって情報を収集し、ネットワークで共有を行う「ミッションシステム」が必要不可欠であり、「空中戦」は搭載コンピュータの上で動く「ソフトウェア」の戦いになっています。X-2にはミッションシステムが搭載されておらず、またミサイルも携行できません。

 現在、防衛省技術研究本部ではX-2と並行して「戦闘機搭載用統合火器管制システムの研究試作」と称し、既存のF-15戦闘機およびF-2戦闘機を改造することによって「ステルス破り」などを可能にする研究を行っています。「ミッションシステム」はX-2のような姿形が無いため目立ちませんが、X-2と同等に重要であり、その動向にも注目する必要があるでしょう。

テーマ特集「【ミリタリー】国産戦闘機F-2、いま直面する後継機問題」へ

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コメント

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1件のコメント

  1. >おそらく1兆円を超えるでしょう。

    何、眠たい事を言ってんの?
    順調に行って3兆円。 5兆円以内に収まれば大成功だろう。それでも得る物の方が遥かに大きい。五輪祭りで数兆円も使う事を考えたら、費用対効果はF3開発の方が遥かに高い。技術的波及効果も大きい。
    F105ライセンス生産で得た技術によりセロ号新幹線開発にフィードバックできたと、新幹線開発技術者から直接聞いた事もある。