北朝鮮、異例の航空ショー開催 最高指導者のある意向が関係か

父の嫌ったものが大好きな息子

 先代の最高指導者であった金正日総書記は大の飛行機嫌いで知られており、中国やロシアなどへの外遊時は、専用列車で陸路を行く“鉄道派”でした。一方で金正恩委員長は、父とは正反対にかなりの“飛行機マニア”であることが明らかになっており、飛行機撮影が趣味で、高麗航空機を実際に操縦。MiG-29戦闘機のコックピットに座って満面の笑みを浮かべる様子も公開されています。

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北朝鮮空軍において最も高性能なMiG-29。しかしアップグレードがされておらず、戦闘能力はかなり低い。写真はロシア空軍機(関 賢太郎撮影)。

「飛行機マニアの国家元首」というのは意外に多く、特にヨルダン国王のアブドゥーラ陛下は元AH-1F「コブラ」戦闘ヘリコプターのパイロットで、外遊時には専用機を自ら操縦。ISISとの戦闘においてヨルダン人のF-16戦闘機パイロットが捕らえられ処刑された際は、怒って自ら出撃を買って出た(真偽不詳)ともいわれます。

 今回の「元山国際親善航空フェスティバル」開催の思惑は、恐らくはあまり深い意味はなく、34歳の若き指導者、金正恩氏のマニア心から実施されることになったのではないでしょうか。

【了】

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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